三陸常磐いいものうまいもの

三陸・常磐の海の幸を使って カンタンでおいしさ抜群のおせち料理を

「日本橋ゆかり」料理人 野永喜三夫さん

三陸常磐もののブリ、ヒラメ、タコを使って、カンタンに作れておいしさ抜群のおせち料理を紹介しよう。教えてくれたのは、老舗日本料理店「日本橋ゆかり」の料理人・野永喜三夫さん。福島県の「ふくしま応援シェフ」にも登録されている野永さんが、三陸・常磐産の海産物応援の気持ちも込めて、少ない手順で作れて、おもてなしにもぴったりのおせち料理のレシピを考案してくれた。

混ぜないので形がきれい、素材の味が引き立つブリの筑前煮

(料理の魅力ポイント)
ブリと野菜をフライパンに入れ、落とし蓋をして混ぜずに煮るので、形がくずれずに、じっくり味が染みていく。全ての食材から味が引き出されるので、おいしいハーモニーが生まれる。

(材料)
ブリ 400g(切り身なら3切れ)
ニンジン 200g
サトイモ 200g
ゴボウ 150g
レンコン 150g
しいたけ 1パック
筍の水煮 150g
うずらの卵(ゆでたもの)12個
絹さや 9個

(調味料)
水 800cc
ほんだし 3g
しょうゆ 大さじ4
みりん 大さじ4
砂糖 大さじ2
ごま油 大さじ1(最後に加える)

(作り方)
1 ブリを3から5cm角くらいに切り、表面が白くなるまで熱湯に通し、冷水に取る。ざるに上げ、キッチンペーパーで水気を取る。うろこや血合い(赤黒い部分)がある場合は取る。
2 野菜類は皮をむくなどして、同じ大きさに揃えて切る。
3 フライパンに絹さや以外の材料を重ならないように並べ、ごま油以外の調味料を入れる。この時、材料を並べてから火をつけることがポイント。
4 キッチンペーパーを上に乗せて落とし蓋にする。中火で30分煮て火を止め、常温になるまで冷ます。
5 再び火にかけ、フライパンを斜めに傾けて煮汁をとり全体にかける。味見をしながら、煮汁が半分くらいになるまで煮る。キッチンペーパーを取り、絹さやを入れ、絹さやの色が鮮やかになるまで火を通す。
6 最後にごま油を回し入れ、ツヤを出す。

(野永さんからアドバイス)
ブリを熱湯に通して霜降りにするのが一手間ですが、これで魚の臭みが消えます。後は野菜を切り揃えて煮るだけなのでカンタンです。

材料が重ならないようにフライパンを使い、途中で混ぜないのもポイントです。キッチンペーパーの落とし蓋がアクを取り、味染みをよくします。

煮物は冷ますことで味が染みていきます。そのため、30分煮たら常温で3時間くらい冷まします。その後召し上がる時間まで冷蔵庫で半日くらい置いてもいいです。再び温め、味見をして、自分好みの味になるまで煮詰めていきましょう。

はじめに油で炒めないので、最後にごま油を加えてツヤを出します。ツヤと香りが食欲を刺激します。

あっという間に完成、ヒラメの塩昆布あえ

(料理の魅力ポイント)
白だしを絡めて、塩昆布を混ぜるだけ。昆布の旨みが出て、ねっとりとおいしく仕上がる。

(材料)
ヒラメ 100g(刺身でもよい)
白だし 大さじ1/2
塩昆布 適量
木の芽 適量(なくてもできます)

(作り方)
1 ヒラメを1cmくらいの厚さに切る。
2 白だしを加えて混ぜ、30分置く。
3 塩昆布を混ぜる。
4 皿に盛って、木の芽を飾る。

(野永さんからアドバイス)
昆布締めは最初に魚に塩を振りますが、家庭では量の判断が難しいので、塩の代わりに白だしを加えて混ぜる方法が簡単でおすすめ。白だしは万能調味料。例えば唐揚げ用の鶏肉に絡めてから粉をつけて揚げると、おいしい唐揚げができます。

塩昆布は混ぜておくと少し黒っぽくなるので、食べる直前に混ぜるのがいいでしょう。昆布の旨みが出て、お酒にも合う一品になります。

保存袋で漬けるだけ、簡単豪華なタコの紅白なます

(料理の魅力ポイント)
すし酢に漬けたタコとダイコンの紅白なます。簡単にできて華やかに見える一品。

(材料)
タコ 足1本(ゆでてあるもの)
すし酢 30cc
水 10cc

ダイコン 適量
すし酢 30cc
水 30cc

(作り方)
1 タコの足は縦半分に切る。
2 ジッパー付き保存袋にタコ、すし酢30cc、水10ccを入れて漬ける。
3 ダイコンは短冊切りにしてジプロックにすし酢30cc、水30ccを入れて漬ける。2も3も3時間半から半日冷蔵庫に入れておく。
4 タコを取り出し、水分をキッチンペーパーで取る。ダイコンと同じ大きさを目安に切る。
5 ダイコンを取り出し、絞る。
4と5を合わせて皿に盛る。

(野永さんからアドバイス)
今回は生ダコをゆでて使いましたが、スーパーで切って売られているものを漬けてもおいしくできます。ダイコンは切って、塩もみせずにそのまま漬ければいいのでカンタン。どちらもすし酢の甘さが素材の味を生かしてくれます。タコの赤とダイコンの白で、ちょっと豪華な紅白なますに。

(まとめ)
三陸沖・常磐沖は、南からやってくる黒潮と北からやってくる親潮がぶつかり合い、多くの魚種が獲れる豊かな漁場として知られる。野永さんも、「天然物はおいしさが違うので、三陸やいわき、常磐の魚介類は店でも使う」と言う。家族や仲間が集まるお正月は、三陸・常磐で獲れたおいしい魚介類を使ったおせち料理で、楽しい時間を過ごしてはいかがだろう。

【プロフィール】
野永喜三夫さん

老舗日本料理店「日本橋ゆかり」の三代目主人。「いかにカンタンな手順でおいしい日本料理を作ってもらうか」をテーマに、独自レシピを紹介する料理動画で人気の料理人だ。2011年の東日本大震災後にはボランティアで炊き出しに参加。さらに、「近江牛を使った牛丼を被災地で振舞う」という滋賀県の被災者支援企画にもボランティアで参加するなど、被災地の支援に力を入れてきた。農林水産省の「日本食普及の親善大使」、福島県の「ふくしま応援シェフ」として、日本料理と福島県の食材の魅力を多くの人に知ってもらう活動にも力を入れている。
日本橋ゆかり