10月のサービス産業活動 東日本大震災時に匹敵する下げ幅に
台風19号、消費税率引き上げなども
本年10月のサービス産業(第3次産業)活動指数は、指数値104.7、前月比マイナス4.6%と4か月ぶりの低下となった。
サービス産業活動はこのところ緩やかな持ち直しの動きがみられており、本年9月は前月比2.3%と、今基準内で最大の上昇幅での上昇となっていた。10月はそこから一転し、大幅な低下となった。前月比マイナス4.6%という低下幅は、東日本大震災のあった2011年3月と並ぶ、今基準内(2008年1月~)で最大の低下幅となっている。指数水準としても、2017年9月と並ぶ水準まで低下した。
小売業、卸売業などの低下大きく
10月の業種別の動きをみると、全11業種すべてが前月比低下という結果となった。
特に低下寄与が大きかった業種は、小売業、卸売業、生活娯楽関連サービスが挙げられる。
小売業に関しては、8月は前月比3.8%、9月は前月比8.5%と、2か月連続での大幅な上昇だったが、10月は前月比マイナス16.0%と、8月、9月の上昇分を打ち消す大幅な低下となった。内訳業種の動きをみると7業種すべてが低下となったが、特に、9月に大幅に上昇した、その他の小売業、自動車小売業、機械器具小売業、各種商品小売業で大きな前月比低下がみられた。
卸売業も、前月比マイナス9.2%と、2か月ぶりの低下となった。9月は前月比3.5%と大きめの上昇だったが、10月はその上昇分を打ち消す大幅な前月比低下となった。10月は産業使用者向け取引、小売業向け取引ともに大幅な低下となった。
生活娯楽関連サービスは、2か月ぶりの低下となった。特にプロスポーツ(スポーツ系興行団)や「食堂, レストラン, 専門店」が低下に寄与した。
前月の上昇分打ち消す
サービス産業活動指数は、大きく「広義対個人サービス」と「広義対事業所サービス」に分けることができる。
10月の対個人サービス活動指数は、指数値105.1、前月比マイナス4.5%と3か月ぶりの低下だった。対事業所サービス活動指数は、指数値104.8、前月比マイナス4.0%と4か月ぶりの低下だった。
9月は広義対個人サービス、広義対事業所サービスともに前月比で上昇していたが、10月はともに前月の上昇分を打ち消す、大幅な前月比低下となった。
「対事業所」製造業依存型が大幅低下
対事業所サービスは、製造業の取引先が多いか、そうでないかによって、製造業依存型と非製造業依存型に分けることができ、それぞれの指数も計算している。
10月は、非製造業依存型事業所向けサービスは前月比マイナス3.8%と2か月ぶりの低下、製造業依存型事業所向けサービスは前月比マイナス6.3%と2か月ぶりの低下だった。
非製造業依存型事業所向けサービス、製造業依存型事業所向けサービスはともに、9月は大きめの上昇をみせていたが、10月はともに大幅な低下となった。
プロスポーツの大幅低下も
対個人サービスは、生活必需的な性質で変動が相対的に少ないと考えられる非選択的サービスと、選択性が高く所得環境や経済情勢などの影響を受けやすいと考えられるし好的サービスに分けられ、それぞれの指数も計算している。
それぞれの動向についてみてみると、10月は非選択的個人向けサービスは前月比マイナス0.4%と3か月ぶりの低下、し好的個人向けサービスは前月比マイナス9.7%と3か月ぶりの低下だった。し好的個人向けサービスは9月は前月比4.6%とかなり好調だったが、10月はこの上昇を打ち消す大幅な低下となった。小売業全般やプロスポーツが大幅に低下したことも寄与したようだ。
基調判断は下方修正
10月のサービス産業活動指数は前月比マイナス4.6%と、4か月ぶりの前月比低下だった。本年9月には前月比2.3%と大幅に上昇し、指数値も109.7と、今基準内での最高水準を大きく更新したが、10月は一転し、大幅な低下となった。
10月は、小売業や卸売業、生活娯楽関連サービス業で特に大きく低下したほか、他の業種も幅広く低下し、単月の低下幅としてはかなり大きなものとなった。10月は消費税率改定もあったが、台風19号等の被災が広範囲に及んだこともあり、小売業全般や飲食店等、幅広い分野で影響が出たことや、鉱工業生産・出荷も低下し、結果、卸売業などにも影響が表れていた。こうした台風の影響などもあり、10月のサービス産業活動は大きく低下したものと考えられる。
ただ、10月は低下したとはいえ、直近、上下の動きの激しかった9月、10月の指数値の平均値をみると107.2となり、ならして見れば、8月以前の指数値から水準が大きく下がった訳ではない。一般に大幅な低下のあった後には反動増が生じることも多く、11月以降、指数値は再び回復していくことも考えられる。
とはいえ、10月はかなりの低下幅となったことから、後方3か月移動平均値も前月より低下しており、この10月の低下からどのように回復していくかは、11月以降の動きも見定めていく必要がある。このため、10月のサービス産業(第3次産業)活動指数の基調判断については、これまでの緩やかな持ち直しの動きから「足踏みがみられる」と下方修正しつつ、先行きを注視していきたい。
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