
3月の鉱工業生産は、自動車工業や電気・情報通信機械工業などが低下し、前月比低下。基調判断は「一進一退」に据え置き

3月の生産は2か月ぶりの前月比低下
2025年3月の鉱工業生産は、季節調整済指数101.1、前月比マイナス1.1%の低下となった。
これまでの生産の動向については、2024年11月は生産用機械工業や自動車工業などが低下したことから、全体として低下、12月も食料品・たばこ工業や化学工業(除.無機・有機化学工業)などが低下したことから、全体として低下、2025年1月も生産用機械工業や電子部品・デバイス工業などが低下したことから、全体として低下、2月は生産用機械工業や電子部品・デバイス工業などが上昇したことから、全体として上昇、そして3月は自動車工業や電気・情報通信機械工業などが低下したことから、全体として2か月ぶりの低下となった。
全15業種のうち10業種が低下
3月の鉱工業生産を業種別にみると、全15業種のうち10業種が前月比低下、5業種が同上昇という結果だった。
自動車工業や電気・情報通信機械工業などで低下したことから、全体として低下した。
低下寄与度の最も大きかった自動車工業では、普通乗用車、小型乗用車等が主な低下要因となっている。次に低下寄与度が大きかった電気・情報通信機械工業では、開閉制御装置、超音波応用装置等が、その次に低下寄与度が大きかった汎用・業務用機械工業では、コンベヤ、汎用内燃機関等が主な低下要因となっている。
一方、上昇寄与度が最も大きかった生産用機械工業では、半導体製造装置、フラットパネル・ディスプレイ製造装置等が主な上昇要因となっているほか、次に上昇寄与度が大きかった輸送機械工業(除.自動車工業)では、航空機用機体部品、航空機用発動機部品等が、その次に上昇寄与度が大きかった無機・有機化学工業では、合成ゴム、ポリプロピレン等が主な上昇要因となっている。
出荷は2か月ぶりの低下
3月の鉱工業出荷は、季節調整済指数98.7、前月比マイナス2.8%と、2か月ぶりの低下となった。
業種別にみると、全15業種のうち13業種が前月比低下、2業種が同上昇という結果だった。
3月は、自動車工業、電気・情報通信機械工業等が低下したことから、全体として低下した。
低下寄与度の最も大きかった自動車工業では、普通乗用車、小型乗用車等が、次に低下寄与度が大きかった電気・情報通信機械工業では、リチウムイオン蓄電池、開閉制御装置等が、次に低下寄与度が大きかった鉄鋼・非鉄金属工業では、普通鋼鋼帯、電気金等が主な低下要因となっている。
一方、上昇寄与度が最も大きかった生産用機械工業では半導体製造装置、繊維機械等が、次に上昇寄与度が大きかった石油・石炭製品工業では、重油、ナフサ等が主な上昇要因となっている。
財の需要先の用途別分類である財別出荷指数をみると、生産財が駆動伝導・操縦装置部品、自動車用エンジン等の出荷減により、前月比マイナス2.2%と低下、耐久消費財が普通乗用車、小型乗用車等の出荷減により、同マイナス7.7%と低下、資本財(除.輸送機械)がコンベヤ、マシニングセンタ等の出荷減により、同マイナス3.5%と低下、非耐久消費財が乳液・化粧水類、頭髪用化粧品等の出荷減により、同マイナス2.4%と低下、建設財がプラスチック製建材、セメント等の出荷減により、同マイナス0.8%と低下となった。
在庫は2か月ぶりの上昇
3月の鉱工業在庫は、季節調整済指数101.8、前月比0.9%と、2か月ぶりの上昇となった。
業種別にみると、全15業種のうち、11業種が前月比上昇、4業種が同低下となった。
上昇寄与度の最も大きかった鉄鋼・非鉄金属工業では、普通鋼鋼帯、特殊鋼熱間圧延鋼材等が主な上昇要因となっている。一方、低下寄与度が最も大きかった自動車工業では、普通乗用車、普通トラック等が主な低下要因となっている。
在庫率は4か月ぶりの上昇
3月の鉱工業在庫率は、季節調整済指数107.4、前月比4.5%と、4か月ぶりの上昇となった。
業種別にみると、全15業種のうち、11業種が上昇、4業種が低下となった。
在庫循環図をみると、2021年第3四半期までは、「在庫積み増し局面」にあり、同年第4四半期から2023年第2四半期までの期間は、「在庫積み上がり局面」に位置していたが、2023年第3四半期には、「在庫調整局面」に達し、2024年第4四半期には、「在庫調整局面」を抜け出て「意図せざる在庫減局面」に入った。
これまで、一部の業種において、積極的に在庫の削減に取り組まれてきたと考えられ、その効果が顕在化されてきた可能性があるが、今後の動向に注視していく必要がある。
3月の生産の基調判断は、「一進一退」に据え置き
2025年3月の鉱工業生産は、前月比マイナス1.1%と低下した。
これまでの生産は、2024年11月は生産用機械工業や自動車工業などが低下したことから低下、12月も食料品・たばこ工業や化学工業(除.無機・有機化学工業)などが低下したことから低下、2025年1月も生産用機械工業や電子部品・デバイス工業などが低下したことから低下したが、2月は生産用機械工業や電子部品・デバイス工業などが上昇したことから上昇、3月は自動車工業や電気・情報通信機械工業などが低下したことから、2か月ぶりの低下となった。
こうした中、先行きに関しては、企業の生産計画では、4月、5月ともに上昇を見込んでおり、企業の生産計画は、しばしば実績から上振れする傾向があることから、こうした影響も考慮すれば、一進一退の傾向は継続するものと見込まれる。
こうした状況を踏まえ、鉱工業生産の3月の基調判断については、「一進一退」に据え置く。
なお、今後は、世界経済の動向などについて、注視していく。