高水準ながらも足下に弱さ 指数でみるサービス産業
2か月連続の前月比マイナス
本年3月のサービス産業(第3次産業)活動指数は、指数値106.2、前月比マイナス0.4%と2か月連続の低下だった。
本年2月は前月比マイナス0.6%とやや大きめの低下をみせたが、3月も再び低下した。ただ、水準としては、昨年10月に大幅に上昇する前の昨年9月の水準105.3を大きく上回り、四半期ベースでみても、本年第1四半期は昨年第4四半期と同様、2010年基準の最高水準である106.7を維持している。
3月は指数水準としては引き続き高い数値ではあるが、直近の動きではやや弱さも感じられる。
11業種中6業種が前月比低下
3月の業種別の動きをみると、全11業種のうち、6業種が前月比低下、5業種が前月比上昇だった。
低下業種については、6業種中5業種が先月に続いての前月比低下だった。低下寄与が大きかった業種は、情報通信業、卸売業、小売業が挙げられる。情報通信業と卸売業については、2か月連続の低下、小売業については、2月前月比横ばいからの前月比低下である。
一方、上昇業種をみると、「医療, 福祉」、「金融業, 保険業」、事業者向け関連サービスなどが上昇した。
「対個人」「対事業所」ともわずかな上昇
サービス産業活動指数は、大きく「広義対個人サービス」と「広義対事業所サービス」に分けることができる。
3月の対個人サービス活動指数は、指数値107.3、前月比0.1%と2か月ぶりの上昇だった。対事業所サービス活動指数は、指数値106.2、前月比0.1%と2か月ぶりの上昇となった。対個人サービス・対事業所サービスともに上昇とはいえ、ほぼ横ばい程度であり、大きな上昇ではない。
伸び悩む「製造業依存型」
対事業所サービスは、製造業の取引先が多いか、そうでないかによって、製造業依存型と非製造業依存型に分けることができ、それぞれの指数も計算している。
それぞれの指数の推移をみると、非製造業依存型事業所向けサービスは緩やかながら上昇傾向を続けてきた一方、製造業依存型事業所向けサービスは伸び悩んでいる。3月は、非製造業依存型事業所向けサービスは前月比0.5%と2か月ぶりの上昇となったが、製造業依存型事業所向けサービスは前月比マイナス0.1%と2か月連続の低下だった。
「し好的個人向け」にやや弱さ
対個人サービスは、生活必需的な性質で変動が相対的に少ないと考えられる非選択的サービスと、選択性が高く所得環境や経済情勢等の影響を受けやすいと考えられるし好的サービスに分けられ、それぞれの指数も計算している。
それぞれの動向について見てみると、3月は非選択的個人向けサービスは前月比横ばい、し好的個人向けサービスは前月比マイナス0.6%と2か月連続の低下だった。し好的個人向けサービスはやや弱さも感じられるところである。
基調判断引き下げ
3月のサービス産業活動指数は前月比マイナス0.4%と、2か月連続の前月比低下だった。指数水準としては106.2と、昨年と比べてもまだ高い水準にあり、四半期ベースでみても本年第1四半期は昨年第4四半期と同じ高い水準を維持している。
ただ、3月は情報通信業をはじめ、先月も低下していた一部の業種で低下が続いた。指数の動向を業種別にみると、このところ情報通信業に加え、卸売業、小売業、物品賃貸業といった、いわばモノの動きに関わる業種で弱さが感じられる。
こうした動きを踏まえ、3月のサービス産業(第3次産業)活動指数の基調判断については、「持ち直しの動きにあるが、一部に弱さがみられる」に引き下げた。
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