10月の鉱工業生産は、生産用機械工業や自動車工業などが上昇。基調判断は、「一進一退」
10月の生産は2か月連続の前月比上昇
2024年10月の鉱工業生産は、季節調整済指数104.3、前月比3.0%の上昇となった。
これまでの生産の動向については、2024年1月~6月までは、自動車工業などにおける工場稼働停止や再開などの影響もあり、生産は一進一退ながら弱含みで推移してきたが、7月は電気・情報通信機械工業や生産用機械工業をはじめ幅広い業種で上昇したことから、全体として上昇、8月は台風による工場稼働停止などの影響を受けて、自動車工業などが低下したことから、全体として低下した。そして、9月は自動車工業や無機・有機化学工業などが上昇したことから、全体として上昇し、10月は生産用機械工業や自動車工業などが上昇したことから、2か月連続の上昇となった。
全15業種のうち11業種が上昇
10月の鉱工業生産を業種別にみると、全15業種のうち11業種が前月比上昇、4業種が同低下という結果だった。
生産用機械工業や自動車工業などで上昇したことから、全体として上昇した。
上昇寄与度の最も大きかった生産用機械工業では、半導体製造装置、フラットパネル・ディスプレイ製造装置などが主な上昇要因となっている。このほか、次に上昇寄与度が大きかった自動車工業では、普通乗用車、駆動伝導・操縦装置部品などが、その次に上昇寄与度が大きかった金属製品工業では、橋りょう、ばねなどが主な上昇要因となっている。
一方、低下寄与度が最も大きかった電子部品・デバイス工業では、モス型IC(メモリ)などが主な低下要因となっているほか、次に低下寄与度が大きかった輸送機械工業(除.自動車工業)では、航空機用発動機部品などが主な低下要因となっている。
出荷は2か月連続の上昇
10月の鉱工業出荷は、季節調整済指数102.6、前月比2.8%と、2か月連続の上昇となった。
業種別にみると、全15業種のうち9業種が前月比上昇、6業種が同低下という結果だった。
10月は、生産用機械工業、自動車工業などが上昇したことから、全体として上昇した。
上昇寄与度の最も大きかった生産用機械工業では、半導体製造装置、フラットパネル・ディスプレイ製造装置などが、次に上昇寄与度が大きかった自動車工業では、普通乗用車、駆動伝導・操縦装置部品などが主な上昇要因となっている。
一方、低下寄与度が最も大きかった電子部品・デバイス工業ではモス型IC(メモリ)などが、次に低下寄与度が大きかった輸送機械工業(除.自動車工業)では、航空機用発動機部品などが主な低下要因となっている。
財の需要先の用途別分類である財別出荷指数をみると、資本財(除.輸送機械)が、半導体製造装置、ノート型パソコンなどの出荷増により、前月比11.0%と上昇。非耐久消費財が石けん類、合成洗剤などの出荷増により同4.8%と上昇、耐久消費財が普通乗用車などの出荷増により同4.5%と上昇となったほか、建設財が橋りょうなどの出荷増により同4.8%と上昇となった。一方、生産財がリチウムイオン蓄電池や航空機用発動機部品などの出荷減により、同マイナス0.5%と低下となった。
在庫は2か月ぶりの低下
10月の鉱工業在庫は、季節調整済指数102.2、前月比マイナス0.1%と、2か月ぶりの低下となった。
業種別にみると、全15業種のうち、7業種が前月比低下、8業種が同上昇となった。
低下寄与度の最も大きかった生産用機械工業では、超硬工具、ショベル系掘削機械などが主な低下要因となっている。一方、上昇寄与度が最も大きかった自動車工業では、普通乗用車、普通トラックなどが主な上昇要因となっている。
在庫率は2か月連続の低下
10月の鉱工業在庫率は、季節調整済指数104.1、前月比マイナス1.4%と、2か月連続の低下となった。
業種別にみると、全15業種のうち、8業種が低下、7業種が上昇となった。
在庫循環図をみると、2021年第3四半期までは、「在庫積み増し局面」にあり、同年第4四半期から2023年第2四半期までの期間は、「在庫積み上がり局面」に位置していたが、2023年第3四半期には、「在庫調整局面」に達し、2024年7月速報公表時点では、「在庫調整局面」を抜け出て「意図せざる在庫減局面」に入ったが、2024年第4四半期(速)では、いまだに「在庫調整局面」にとどまる結果となった。
これまで、一部の業種において、積極的に在庫の削減に取り組まれてきたと考えられ、その効果が顕在化されてきた可能性があるが、今後の動向に注視していく必要がある。
10月の生産の基調判断は、「一進一退」に据え置き
2024年10月の鉱工業生産は、前月比3.0%と上昇した。
これまでの生産は、2024年1月~6月までは、自動車工業などにおける工場稼働停止や再開などの影響もあり、生産は一進一退ながら弱含みで推移してきたが、7月は電気・情報通信機械工業や生産用機械工業をはじめ幅広い業種で上昇したことから、全体として上昇、8月は台風による工場稼働停止などの影響を受けて、自動車工業などが低下したことから低下、9月は自動車工業や無機・有機化学工業などが上昇したことから上昇、そして、10月は生産用機械工業や自動車工業などが上昇したことから、全体として2か月連続の上昇となった。
こうした中、先行きに関しては、企業の生産計画では、11月、12月ともに低下を見込んでおり、企業の生産計画は、しばしば実績から上振れする傾向があることから、こうした影響も考慮すれば、一進一退の傾向は継続するものと見込まれる。
こうした状況を踏まえ、鉱工業生産の10月の基調判断については、「一進一退」に据え置く。
なお、今後は、世界経済の動向などについて、注視していく。