統計は語る

5月のサービス産業活動は「運輸業,郵便業」「生活娯楽関連サービス」が低下。基調判断は「一進一退」に据え置き

5月の第3次産業活動指数は、前月比低下

5月のサービス産業(第3次産業)活動指数は、指数値101.6、前月比マイナス0.4%と2か月ぶりの低下となった。

これまでのサービス産業活動は、1月は、卸売業などが低下したことなどを受けて、全体として低下していたが、2月は、堅調な財・サービス消費などを受けて、「運輸業,郵便業」や「金融業,保険業」を始めとして多くの業種が上昇したことなどから、全体として上昇していた。その後、3月は、「運輸業,郵便業」を中心に多くの業種が低下したことから、全体として低下していた。

こうした中、4月は、「運輸業,郵便業」を中心に多くの業種が上昇したことから、全体として上昇した。

そして、5月は、「運輸業,郵便業」、「生活娯楽関連サービス」などの業種が低下したことから、全体として低下した。

業種ごとの動向

5月の業種別の動きをみると、11業種中、6業種が前月比低下、4業種が同上昇、1業種が同横ばいとなった。

5月は、「運輸業,郵便業」、「生活娯楽関連サービス」などの業種が低下したことから、全体として低下した。

「運輸業,郵便業」は、前月比マイナス3.9%と、2か月ぶりの低下となった。内訳業種では、道路貨物運送業などが低下に寄与している。道路貨物運送業については、大きく上昇した4月からの反動もあるものと考えられるが、鉄道業や航空運輸業など旅客の運送に関わる業種でも低下が見られた。また、「生活娯楽関連サービス」も、前月比マイナス3.0%と2か月ぶりの低下となった。内訳業種では宿泊業や娯楽業などが低下に寄与したが、飲食店,飲食サービス業は前月から上昇した。このように、足下の物価高に伴う家計の節約志向を反映して、5月は大型連休があったにも関わらず、旅行などを控えるといった動きが見られたのが、今月の第3次産業活動の主な特徴であると言える。

『対個人/対事業所サービス』の動向

サービス産業活動指数は、大きく「広義対個人サービス(以下対個人サービス)」と「広義対事業所サービス(以下対事業所サービス)」に分けることができる。

5月は、対個人サービスが、指数値101.4、前月比0.3%と上昇、対事業所サービスが、指数値101.5、同マイナス0.7%と低下となった。

『製造業/非製造業依存型事業所向けサービス』の動向

対事業所サービスは、製造業の取引先が多いか、そうでないかによって、「製造業依存型」と「非製造業依存型」に分けることができ、それぞれの指数を計算している。

5月は、製造業依存型事業所向けサービスが前月比マイナス0.9%、非製造業依存型事業所向けサービスが同マイナス0.6%となり、ともに低下した。

『非選択的/し好的個人向けサービス』の動向

対個人サービスは、生活必需的な性質で変動が相対的に少ないと考えられる「非選択的サービス」と、選択性が高く所得環境や経済情勢などの影響を受けやすいと考えられる「し好的サービス」に分けられ、それぞれの指数も計算している。

5月は、非選択的サービスが前月比マイナス0.9%、し好的サービスが同マイナス0.2%となり、ともに低下した。

5月時点の基調判断は、「一進一退」に据え置き

5月のサービス産業活動指数は、「運輸業,郵便業」、「生活娯楽関連サービス」などの業種が低下したことから、全体として前月比マイナス0.4%と、2か月ぶりの低下となった。

また、2024年1月は前月比マイナス0.8%の低下、2月は同2.1%の上昇、3月は同マイナス2.5%の低下、4月は同2.2%の上昇、今回の5月が同マイナス0.4%の低下となっており、均してみると、引き続き一進一退の状態にあると考えられる。

このため、サービス産業活動指数の5月の基調判断については、「一進一退」に据え置く。

なお、今後は、物価上昇による取引量への影響などについて、注視していく。

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参考図表集

マンガ「就職にも使える!第3次産業活動指数」