9月の鉱工業生産は「生産は緩やかな持ち直しの動き」に据え置き
9月生産は4か月ぶりの前月比低下
2022年9月の鉱工業生産は、季節調整済指数98.6、前月比マイナス1.6%と、4か月ぶりの低下となった。
これまでの生産の動向については、2022年4月と5月は、中国でのロックダウン等の影響を受けて低下したが、6月に、中国でのロックダウン等の解除などを受けて上昇に転じ、7月と8月は、部材供給不足の影響が緩和したことなどから、上昇していた。
こうした中、9月は、これまでの上昇の反動などから、4か月ぶりに低下した。
11業種が前月比低下、4業種が前月比上昇
9月の鉱工業生産を業種別にみると、全体15業種のうち、11業種が前月比低下、4業種が前月比上昇という結果だった。
9月は、これまでの上昇の反動などから、自動車工業を中心に多くの業種が低下したことから、全体として低下した。
低下寄与度の最も大きかった自動車工業は、駆動伝導・操縦装置部品やシャシー・車体部品等が主な低下要因となっている。これらについては、これまでの上昇の反動などを受けて、低下したものと考えられる。
出荷は4か月ぶりの低下
9月の鉱工業出荷は、季節調整済指数95.2、前月比マイナス2.4%と、4か月ぶりの低下となった。
業種別にみると、全体15業種のうち、9業種が低下、6業種が上昇となった。
9月は、これまでの上昇の反動などを受けて、自動車工業を中心に多くの業種が低下したことから、全体として低下した。
低下寄与度の最も大きかった自動車工業は、駆動伝導・操縦装置部品や普通トラック等が主な低下要因となっている。駆動伝導・操縦装置部品については、生産と同様の理由により、普通トラックについては、海外向けの減少などを受けて、低下したものと考えられる。
次に低下寄与度の大きかった石油・石炭製品工業は、ガソリンや軽油等が主な低下要因となっている。ガソリンについては、設備の定期修理や不具合などの理由により、軽油については、設備の不具合や輸出減少などを受けて、低下したものと考えられる。
財の需要先の用途別分類である財別出荷指数をみると、生産財が前月比1.8%の低下、資本財(除.輸送機械)が同3.6%の低下、非耐久消費財が同2.0%の低下、建設財が同3.8%の低下、耐久消費財が同0.5%の低下と、全ての財で低下となった。
在庫は4ヶ月連続の上昇
9月の鉱工業在庫は、季節調整済指数103.9、前月比3.0%と、4か月連続の上昇となった。
業種別にみると、15業種のうち、14業種が上昇、1業種が低下となった。
上昇寄与度の最も大きかった電気・情報通信機械工業は、セパレート形エアコンやリチウムイオン蓄電池等が主な上昇要因となっている。セパレート形エアコンについては、冬期需要に向けた在庫積み増しなどにより、リチウムイオン蓄電池については、今後の出荷に向けた在庫積み増しなどにより、上昇したものと考えられる。
次に上昇寄与度の大きかった電子部品・デバイス工業は、アクティブ型液晶パネル(大型)やアクティブ型液晶パネル(中・小型)等が主な上昇要因となっている。アクティブ型液晶パネル(大型)については、タブレットやTV向けの出荷が減少したことなどにより、アクティブ型液晶パネル(中・小型)については、今後の出荷に向けた在庫積み増しや出荷時期の見直しなどを受けて、上昇したものと考えられる。
在庫率は2か月ぶりの上昇
9月の鉱工業在庫率は、季節調整済指数124.8、前月比5.1%と、2か月ぶりの上昇となった。
業種別にみると、15業種のうち、13業種が上昇、2業種が低下となった。
在庫循環図をみると、2021年第3四半期までは、「在庫積み増し局面」にあったが、第4四半期には、「在庫積み上がり局面」に達しており、2022年第3四半期(速)まで継続している。これまでの部材供給不足などによる生産減少の影響が含まれているが、概ね「在庫積み上がり局面」に位置しているものと考えられる。
9月の生産の基調判断は、「緩やかな持ち直しの動き」に据え置き
9月の鉱工業生産は、前月比1.6%の低下となった。
生産は、2022年4月と5月は、中国でのロックダウン等の影響を受けて低下していたが、6月に、中国でのロックダウン等の解除などを受けて上昇に転じ、7月と8月は部材供給不足の影響が緩和したことなどから、上昇していた。
こうした中、9月は、これまでの上昇の反動などから、4か月ぶりに低下した。
また、先行きに関しては、企業の生産計画では、10月は低下、11月は上昇となっていることから、ならしてみると緩やかな持ち直しの動きが続いていると考えている。
こうした状況を踏まえ、鉱工業生産の9月の基調判断については、「緩やかな持ち直しの動き」に据え置く。
なお、今後は、引き続き、変異タイプの新型コロナウイルス感染症の拡大による内外経済への影響や、部材供給不足の影響、物価上昇の影響などについて、注視していく。