統計は語る

3か月ぶりに低下もなお高水準

6月のサービス産業活動指数


 本年6月のサービス産業(第3次産業)活動指数は、指数値106.9、前月比マイナス0.1%と3か月ぶりの低下となった。
 本年4月に3か月ぶりの上昇をみせた後、5月は横ばいとなり、6月は小幅な低下となった。とはいえ、水準としては、2010年基準(2008年1月~)では、本年1月、4月・5月に次ぐ第4位となっており、過去最高水準に近い値を維持している。

「金融、保険」など低下寄与大きく

 6月の業種別の動きをみると、全11業種のうち、7業種が前月比低下、4業種が前月比上昇だった。

 低下寄与が大きかった業種は、「金融業, 保険業」、「運輸業, 郵便業」、小売業が挙げられる。「金融業, 保険業」に関しては、5月の指数値121.8が現行基準第1位、前月比5.7%と高い水準にあったため、そこからの反動が現れた形である。「運輸業, 郵便業」、小売業に関しては、2か月連続の低下だった。小売業では、自動車小売業と飲食料品小売業が特に低下に寄与していた。
 一方、上昇寄与が大きかった業種は、卸売業、「医療, 福祉」、情報通信業だった。

「対個人」「対事業所」向けの動向は

 サービス産業活動指数は、大きく「広義対個人サービス」と「広義対事業所サービス」に分けることができる。
 6月の対個人サービス活動指数は、指数値107.7、前月比マイナス0.2%と3か月ぶりの低下だった。対事業所サービス活動指数は、指数値106.3、前月比マイナス0.4%と2か月連続の低下となった。

「製造業依存型事業所向け」は再び低下

 対事業所サービスは、製造業の取引先が多いか、そうでないかによって、製造業依存型と非製造業依存型に分けることができ、それぞれの指数も計算している。
 6月は、非製造業依存型事業所向けサービスは前月比0.3%と2か月ぶりの上昇となったが、製造業依存型事業所向けサービスは前月比マイナス1.1%と2か月ぶりの低下だった。
 それぞれの指数のこれまでの推移をみると、非製造業依存型事業所向けサービスは緩やかながら上昇傾向を続けてきた一方、製造業依存型事業所向けサービスは伸び悩んでいる。5月は製造業依存型事業所向けサービスは前月比1.5%上昇と大幅な上昇をみせたものの、6月は再び大きく低下した。

「非選択的」「し好的」ともに低下

 対個人サービスは、生活必需的な性質で変動が相対的に少ないと考えられる非選択的サービスと、選択性が高く所得環境や経済情勢等の影響を受けやすいと考えられるし好的サービスに分けられ、それぞれの指数も計算している。
 それぞれの動向についてみてみると、6月は非選択的個人向けサービスは前月比マイナス0.4%と3か月ぶりの低下、し好的個人向けサービスは前月比マイナス0.2%と2か月連続の低下だった。し好的個人向けサービスの後方3か月移動平均値をみると、このところやや低下傾向で推移している。

6月の基調判断据え置き

 6月のサービス産業活動指数は前月比マイナス0.1%と、3か月ぶりの前月比低下だった。低下寄与業種は7業種と多い割には、サービス産業総合では小幅な低下となった。指数水準としては106.9と、今基準内では本年1月、4月・5月に次ぐ高い水準を維持している。
 四半期ベースでは、第2四半期の指数値は107.0となり、今基準内最高水準であった第1四半期を上回ることとなった。
 ただ、指数の動向を業種別にみると、小売業、卸売業といった、いわばモノの動きに関わる業種では、他と比べまだ弱さも感じられるところである。
 こうした動きを踏まえ、6月のサービス産業(第3次産業)活動指数の基調判断については、「持ち直しの動きにあるが、一部に弱さがみられる」に据え置かれている。

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参考図表集
『就職にも使える! 第3次産業活動指数』(マンガ)