鉱工業出荷内訳表、鉱工業総供給表 基準年を改定
産業構造の変化を映す
経済解析室では、鉱工業の生産者出荷を国内向けと輸出向け、どちらに向けられたのかを把握するために作り出された「鉱工業出荷内訳表」を、また、その国内向けを国産品と捉え、海外からの輸入品を併せて、どれだけ供給されたのかを把握するために作り出された「鉱工業総供給表」を公表している。
しかし、我が国の輸出入の構造は年々変化することから、輸出入のウェイト構成も昔のままでは足下の経済活動を正確に把握することができない。そこで、「鉱工業出荷内訳表」及び「鉱工業総供給表」についても、直近の産業構造や輸出入の動向等を反映させるため、2019年3月に公表した2019年1月分公表時から、指数の基準年を2010年(平成22年)基準より、2015年(平成27年)基準への改定を行った。
「鉱工業出荷内訳表」によって、以下のように、国内向け出荷・輸出向け出荷の双方の動向を把握することができる。
また、「鉱工業総供給表」によって、以下のように、国産・輸入・鉱工業総供給の動向を把握することができる。
ウェイトを見直し
改定内容については、2018年9月分確報公表時に2015年基準への改定を行った鉱工業指数と同様に、業種分類の一部変更、採用品目の見直し、ウェイトの見直しなどを行った。
ウェイトが変化した主な業種は、以下の通りである。
・鉱工業出荷内訳表
前回基準年の2010年以降の変化を踏まえ、輸出向け出荷指数のウェイトは、輸送機械工業、生産用機械工業、汎用・業務用機械工業等で増えることとなった。なお、輸出向け出荷指数全体のウェイトも2010年基準より上昇することになった。
・鉱工業総供給表
前回基準年の2010年以降の変化を踏まえ、輸入指数のウェイトは、電気・情報通信機械工業等で増えることとなった。なお、輸入指数全体のウェイトも2010年基準より上昇することになった。
新旧の指数比較
では、新基準と旧基準の指数値の動きを、例として、鉱工業出荷内訳表の輸出向け出荷指数、鉱工業総供給表の輸入指数、それぞれの「鉱工業全体の季節調整済指数」を用いて、折れ線グラフを描いて比較してみる。なお、2010年基準指数値については、便宜上2015年平均=100となる調整値を用いている。
基準年の改定とともに、貿易統計データを指数化する際に使用する業種ウェイトなどの入替えを行った関係で、新基準と旧基準で前月からの変動幅の大小に違いはあるが、上昇する時期、低下する時期の傾向は、ほぼ変わっていない。
・出荷内訳表
(例)鉱工業の輸出向け出荷指数
・鉱工業総供給表
(例)鉱工業の輸入指数
鉱工業指数と比べると、まだまだ存在感が薄い「鉱工業出荷内訳表」、「鉱工業総供給表」だが、公表日は大型連休や年末年始が重なる時期を除き、原則として鉱工業指数(生産・出荷・在庫)の速報公表日の一週間後、毎月上旬に公表している。
足下の経済活動をより直近の状況に基づいて把握できるようになった「鉱工業出荷内訳表」、「鉱工業総供給表」を利用して頂きたい。
※ 鉱工業出荷内訳表、鉱工業総供給表の基準改定にさらに興味のある方は、こちらをどうぞ。
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