2月の鉱工業生産は、自動車工業や生産用機械工業を中心に上昇したことなどから、2か月ぶりの上昇。
2月生産は2か月ぶりの前月比上昇
2023年2月の鉱工業生産は、季節調整済指数94.8、前月比4.5%と、2か月ぶりの上昇となった。
これまでの生産の動向については、2022年9月と10月は、中国でのロックダウン等の解除や部材供給不足の影響緩和等を受けたそれまでの上昇の反動などから低下していた。
その後、11月と12月は、化学工業(除.無機・有機化学工業)や食料品・たばこ工業などが堅調であったことから上昇していたが、1月は、自動車工業や生産用機械工業を始めとした多くの業種での低下などを受けて、全体として低下していた。
そうした中、2月は、部材供給不足の影響が緩和されたことなどを受けて、自動車工業を中心に上昇したことなどから、全体として上昇した。
9業種が前月比上昇、6業種が同低下
2月の鉱工業生産を業種別にみると、全体15業種のうち、9業種が上昇、6業種が低下という結果だった。
2月は、部材供給不足の影響が緩和されたことなどを受けて、自動車工業を中心に上昇したことなどから、全体として上昇した。
上昇寄与度の最も大きかった自動車工業は、普通乗用車や駆動伝導・操縦装置部品等が主な上昇要因となった。これらについては、部材供給不足の影響が緩和されたことなどを受けて、上昇したものと考えられる。
また、次に上昇寄与度の大きかった生産用機械工業は、半導体製造装置やショベル系掘削機械等が主な上昇要因となっている。半導体製造装置については、海外からの受注の増加などにより、ショベル系掘削機械については、部材供給不足の影響が緩和されたことなどを受けて、上昇したものと考えられる。
出荷は6か月ぶりの上昇
2月の鉱工業出荷は、季節調整済指数92.4、前月比3.6%と、6か月ぶりの上昇となった。
業種別にみると、全体15業種のうち、10業種が上昇、5業種が低下となった。
2月は、部材供給不足の影響が緩和されたことなどを受けて、自動車工業を中心に上昇したことなどから、全体として上昇した。
上昇寄与度の最も大きかった自動車工業は、普通乗用車や駆動伝導・操縦装置部品等が主な上昇要因となっている。これらについては、生産と同様の理由により、上昇したものと考えられる。
次に上昇寄与度の大きかった生産用機械工業は、半導体製造装置やショベル系掘削機械等が主な上昇要因となっている。これらについては、生産と同様の理由により、上昇したものと考えられる。
財の需要先の用途別分類である財別出荷指数をみると、非耐久消費財が前月比マイナス0.1%と低下する一方で、生産財が同4.1%、耐久消費財が同8.1%、資本財(除.輸送機械)が同2.9%、建設財が同1.4%と上昇した。
在庫は3か月ぶりの上昇
2月の鉱工業在庫は、季節調整済指数103.6、前月比1.4%と、3か月ぶりの上昇となった。
業種別にみると、15業種のうち、6業種が上昇、9業種が低下となった。
上昇寄与度の最も大きかった自動車工業は、普通乗用車や普通トラック等が主な上昇要因となっている。
在庫率は4か月ぶりの低下
2月の鉱工業在庫率は、季節調整済指数126.3、前月比マイナス1.6%と、4か月ぶりの低下となった。
業種別にみると、15業種のうち、11業種が低下、4業種が上昇となった。
在庫循環図をみると、2021年第3四半期までは、「在庫積み増し局面」にあったが、第4四半期には、「在庫積み上がり局面」に達しており、2023年第1四半期(速)まで継続している。これまでの部材供給不足などによる生産減少の影響等が含まれているが、概ね「在庫積み上がり局面」に位置しているものと考えられる。
2月の生産の基調判断は、「弱含み」に据え置き
2月の鉱工業生産は、前月比4.5%の上昇となった。
生産は、2022年9月と10月は、中国でのロックダウン等の解除や部材供給不足の影響緩和等を受けたそれまでの上昇の反動などから低下していた。
その後、11月と12月は、化学工業(除.無機・有機化学工業)や食料品・たばこ工業などが堅調であったことから上昇していたが、1月は、自動車工業や生産用機械工業を始めとした多くの業種での低下などを受けて、全体として低下していた。
こうした中、2月は、部材供給不足の影響が緩和されたことなどを受けて、自動車工業を中心に上昇したことなどから、2か月ぶりに上昇した。
また、先行きに関しては、企業の生産計画では、3月と4月はともに上昇を見込んでいるが、3月の補正値は前月比0.3%の低下を見込んでおり、ならしてみると弱含みの状態にあると考えられる。
こうした状況を踏まえ、鉱工業生産の2月の基調判断については、「弱含み」に据え置く。
なお、今後は、引き続き、変異タイプの新型コロナウイルス感染症の拡大による内外経済への影響や、部材供給不足の影響、物価上昇の影響などについて、注視していく。