1月の鉱工業生産は、多くの業種が低下。基調判断は、「弱含み」に据え置き。
1月生産は3か月ぶりの前月比低下
2023年1月の鉱工業生産は、季節調整済指数91.4、前月比マイナス4.6%と、3か月ぶりの低下となった。
これまでの生産の動向については、2022年6月に、中国でのロックダウン等の解除などを受けて上昇に転じ、7月と8月は、部材供給不足の影響が緩和したことなどから、上昇していた。
その後、9月と10月は、これまでの上昇の反動などから低下していたが、11月と12月は、化学工業(除.無機・有機化学工業)や食料品・たばこ工業などが堅調であったことから上昇に転じていた。
こうした中、1月は、自動車工業や生産用機械工業を始めとして多くの業種で低下したことなどから、3か月ぶりに低下した。
12業種が前月比低下、3業種が同上昇
1月の鉱工業生産を業種別にみると、全体15業種のうち、12業種が低下、3業種が上昇という結果だった。
1月は、部材供給不足や海外・国内需要の減少等を受けて、自動車工業や生産用機械工業を始めとして多くの業種が低下したことから、全体として低下した。
低下寄与度の最も大きかった自動車工業は、普通乗用車や駆動伝導・操縦装置部品等が主な低下要因となっている。これらについては、部材供給不足などを受けて、低下したものと考えられる。
また、次に低下寄与度の大きかった生産用機械工業は、半導体製造装置やショベル系掘削機械等が主な低下要因となっている。半導体製造装置については、海外・国内向けの減少などにより、ショベル系掘削機械については、部材供給不足などを受けて、低下したものと考えられる。
出荷は5か月連続の低下
1月の鉱工業出荷は、季節調整済指数89.7、前月比マイナス3.1%と、5か月連続の低下となった。
業種別にみると、全体15業種のうち、10業種が低下、5業種が上昇となった。
1月は、自動車工業や生産用機械工業を始めとして多くの業種が低下したことから、全体として低下した。
低下寄与度の最も大きかった自動車工業は、普通乗用車や駆動伝導・操縦装置部品等が主な低下要因となっている。これらについては、生産と同様の理由により、低下したものと考えられる。
次に低下寄与度の大きかった生産用機械工業は、半導体製造装置やショベル系掘削機械等が主な低下要因となっている。これらについては、生産と同様の理由により、低下したものと考えられる。
財の需要先の用途別分類である財別出荷指数をみると、生産財が前月比マイナス3.4%、耐久消費財が同マイナス9.1%、資本財(除.輸送機械)が同マイナス5.9%、非耐久消費財が同マイナス0.3%、建設財が同マイナス0.1%となり、全ての財で低下となった。
在庫は2か月連続の低下
1月の鉱工業在庫は、季節調整済指数102.3、前月比マイナス0.9%と、2か月連続の低下となった。
業種別にみると、15業種のうち、10業種が低下、4業種が上昇、1業種が横ばいとなった。
低下寄与度の最も大きかった自動車工業は、普通乗用車や普通トラック等が主な低下要因となっている。
在庫率は3か月連続の上昇
1月の鉱工業在庫率は、季節調整済指数128.0、前月比2.5%と、3か月連続の上昇となった。
業種別にみると、15業種のうち、11業種が上昇、4業種が低下となった。
在庫循環図をみると、2021年第3四半期までは、「在庫積み増し局面」にあったが、第4四半期には、「在庫積み上がり局面」に達しており、2023年第1四半期(速)まで継続している。これまでの部材供給不足などによる生産減少の影響等が含まれているが、概ね「在庫積み上がり局面」に位置しているものと考えられる。
1月の生産の基調判断は、「弱含み」に据え置き
1月の鉱工業生産は、前月比4.6%の低下となった。
生産は、2022年6月に、中国でのロックダウン等の解除などを受けて上昇に転じ、7月と8月は部材供給不足の影響が緩和したことなどから、上昇していた。
その後、9月と10月は、これまでの上昇の反動などから低下し、11月と12月は、化学工業(除.無機・有機化学工業)や食料品・たばこ工業などが堅調であったことから上昇に転じていた。
こうした中、1月は、自動車工業や生産用機械工業を始めとして多くの業種で低下したことなどから、3か月ぶりに低下した。
また、先行きに関しては、企業の生産計画では、2月と3月はともに上昇を見込んでおり、2月の補正値は前月比1.3%の上昇を見込んでいるが、1月の低下幅を取り戻す動きとはなっておらず、ならしてみると弱含みの状態にあると考えられる。
こうした状況を踏まえ、鉱工業生産の1月の基調判断については、「弱含み」に据え置く。
なお、今後は、引き続き、変異タイプの新型コロナウイルス感染症の拡大による内外経済への影響や、部材供給不足の影響、物価上昇の影響などについて、注視していく。