統計は語る

2か月連続の前月比プラス 過去最高水準を更新

8月のサービス産業活動指数


 本年8月のサービス産業(第3次産業)活動指数は、指数値107.3、前月比0.4%と2か月連続の上昇となった。
 本年4月に前月比0.8%と、3か月ぶりの大幅な上昇をみせた後、7月までは小幅な低下と上昇が続き、横ばい気味の動きを示していたが、8月は前月比0.4%と、ややはっきりした上昇となった。水準としては、それまでの2010年基準(2008年1月~)での最高水準である本年1月の指数値107.2を上回り、過去最高水準を更新する形となった。

小売、電気・ガスなど寄与

 8月の業種別の動きをみると、全11業種のうち、6業種が前月比上昇、5業種が前月比低下となった。

 上昇寄与が大きかった業種は、小売業、電気・ガス・熱供給・水道業、「金融業, 保険業」が挙げられる。
 小売業に関しては、今年に入り弱い動きが続いていたが、8月は前月比4.0%と、4月以来の4か月ぶりの上昇となった。この上昇幅は、今基準内では2番目に大きな上昇幅となり、水準としても、2014年3月以来の高い水準となる。今夏の梅雨明けの遅れの影響などによる7月の低下からの回復に加え、8月は気温も高く、夏物商品や夏物衣料等も好調だったようだ。
 電気・ガス・熱供給・水道業は、前月比6.5%と、4か月ぶりの上昇となった。特に電気業が、梅雨明けの遅れの影響などによる7月の大幅な低下からの反動が現れたことに加え、8月の気温高による冷房需要もあり、前月比8.6%と大幅に上昇したことが寄与した。
 「金融業, 保険業」は、3か月ぶりの上昇となった。
 一方、低下寄与が大きかった業種は、卸売業、事業者向け関連サービス、「医療, 福祉」だった。卸売業は、3か月ぶりの低下となった。事業者向け関連サービスも、3か月ぶりの低下となった。

「対個人」大きく伸びる

 サービス産業活動指数は、大きく「広義対個人サービス」と「広義対事業所サービス」に分けることができる。
 8月の対個人サービス活動指数は、指数値108.0、前月比0.8%と3か月ぶりの上昇だった。対事業所サービス活動指数は、指数値106.9、前月比0.3%と2か月連続の上昇だった。
 それぞれの指数のこれまでの推移をみると、ともにおおむね上昇基調で推移してきたものの、このところ広義対個人サービスに関しては横ばい気味に推移しているが、8月は再び大幅な上昇をみせた。

「製造業依存型事業所向け」は伸び悩み

 対事業所サービスは、製造業の取引先が多いか、そうでないかによって、製造業依存型と非製造業依存型に分けることができ、それぞれの指数も計算している。
 8月は、非製造業依存型事業所向けサービスは前月比マイナス0.4%と3か月ぶりの低下となったが、製造業依存型事業所向けサービスは前月比マイナス0.1%と3か月連続の低下だった。
 それぞれの指数のこれまでの推移をみると、非製造業依存型事業所向けサービスは緩やかながら上昇傾向を続けてきた一方、製造業依存型事業所向けサービスは伸び悩んでいるが、8月はともに低下となった。

「非選択的」「し好的」ともに上昇

 対個人サービスは、生活必需的な性質で変動が相対的に少ないと考えられる非選択的サービスと、選択性が高く所得環境や経済情勢などの影響を受けやすいと考えられるし好的サービスに分けられ、それぞれの指数も計算している。
 それぞれの動向についてみてみると、8月は非選択的個人向けサービスは前月比0.1%と3か月ぶりの上昇、し好的個人向けサービスは前月比1.2%と2か月ぶりの上昇だった。し好的個人向けサービスはこのところ横ばい傾向で推移していたが、8月は大幅に上昇した。その要因としては、小売業や不動産業などが好調であったことが寄与したようだ。

基調判断を上方修正

 8月のサービス産業活動指数は前月比0.4%と、2か月連続の前月比上昇だった。指数値は本年1月の107.2を上回る107.3まで上昇し、今基準内での最高水準を更新した。サービス産業活動指数は本年4月に前月比0.8%と大きく上昇した後、横ばい程度の動きをしていたが、再び勢いのある指数の上昇をみせた。後方3か月移動平均値をみても、上昇傾向がみられる。
 こうした動きを踏まえ、8月のサービス産業(第3次産業)活動指数の基調判断については、「持ち直しの動きがみられる」としている。

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参考図表集

『就職にも使える! 第3次産業活動指数』(マンガ)