統計は語る

8月の鉱工業出荷 2か月ぶりの前月比マイナス

国内向け振るわず

 
 本年8月の鉱工業出荷は、季節調整済指数で101.1、前月比マイナス1.4%と、2か月ぶりの低下となった。内需(国内向け出荷)は前月比マイナス2.3%と2か月ぶりの低下、外需(輸出向け出荷)は前月比2.5%と2か月連続の上昇だった。
 8月は輸出向け出荷が上昇に寄与したものの、国内向け出荷の低下寄与が大きかったため、鉱工業出荷全体では低下することとなった。
 出荷水準をみると、まず国内向け出荷指数については、8月の指数値は99.9となった。上昇と低下を繰り返すなかで、本年に入り指数の水準が100を下回ったのは3度目である。7月に前月比2.9%上昇し、指数値102.3まで回復したものの、8月の水準は再び低下した。
 一方、輸出向け出荷指数は、国内向け出荷とやや異なる動きをしている。輸出向け出荷指数は3月以降、4か月連続で低下を続けていたが、7月から上昇に転じ、8月は104.8の水準まで回復している。第1四半期の103.4や第2四半期の102.9と比べても高い指数値となっている。もっとも、昨年の指数値107.1と比べればいまだ低い水準ではあるが、この回復は今後も続くものか、注目される。

12業種中10業種が前月比低下

 8月の国内向け出荷の業種別動向をみると、12業種中10業種が前月比低下だった。特に低下寄与が大きかったのは輸送機械工業で、それに次ぐ低下寄与をみせたのは鉄鋼・非鉄金属工業、生産用機械工業だった。

 8月の輸出向け出荷の業種別動向をみると、12業種中7業種が前月比上昇となった。特に上昇寄与が大きかったのは生産用機械工業だった。それに次いで、輸送機械工業の上昇寄与が大きくなっていた。

需要先用途別の動き

 8月の需要先別用途別分類(財別分類)の国内向け/輸出向け出荷の動きを比較してみる。
 まず、製造業の中間投入となる鉱工業用生産財については、国内向け出荷が前月比マイナス3.2%と2か月ぶりの低下だった。輸出向け出荷は前月比1.6%と4か月ぶりの上昇だった。8月は、鉱工業生産が低下したこともあり、鉱工業用生産財の国内向け出荷も低下したようである。
 設備投資向けとなる資本財(除.輸送機械)については、国内向け出荷は前月比0.3%と2か月連続の上昇となった。輸出向け出荷についても、前月比6.1%と2か月ぶりの上昇となった。なお、国内向け出荷については、輸送機械の低下の影響が大きく、資本財全体では前月比低下となっている。

 消費向けの財では、耐久消費財の国内向け出荷は前月比0.1%と2か月連続で上昇となり、輸出向け出荷についても前月比2.2%と3か月ぶりの上昇となった。非耐久消費財については、国内向け出荷は前月比0.0%の横ばい、輸出向け出荷は前月比2.3%と2か月ぶりの上昇となった。
 国内向け、海外向けそれぞれの財別の寄与でいうと、国内向け出荷では部品や原料などといった生産財が低下に大きく寄与しており、輸出向け出荷では、設備投資向けとなる資本財が上昇に大きく寄与している。

輸出仕向け先別の動向

 8月の主要仕向け先別の輸出向け出荷の動きをみると、欧州向け等が前月比で低下したが、米国向け、ASEAN向けは前月比で上昇し、輸出向け出荷は2か月連続の上昇となった。

 輸出向け出荷の中心となっているアジア向け出荷は、いまだ昨年と比べ低い水準ではあるものの、中国向け出荷は年初の大きな落ち込みからはやや回復の様子もみられる。今後については不透明感もあるが、さらに持ち直していくことが期待されるところだ。