政策特集コネクテッド インダストリーズ extra

コネクテッドインダストリーズを語り合う

METI Jouranalとニュースイッチがコラボ


 METI Journalと、日刊工業新聞社が発信するWebメディア「ニュースイッチ」がコラボレーションしたイベント「METI Journal✕ニュースイッチLabo」が7月末に開催された。第一弾は、6月の政策特集「コネクテッドインダストリーズ」がテーマ。同分野に携わる企業人や専門家、経済産業省の担当者らが熱い議論を展開した。聴講には、さまざまな業界から若手を中心に23人が参加し、パネリストへ熱心に質問を投げかけた。またセッション後には、パネリストを交えた交流会も開いた。

グローバル市場を狙う

 当日は、笹井健史コマツCTO室技術イノベーション企画部技師、鈴木彩子トヨタ自動車コネクティッド統括部主幹、須藤憲司 Kaizen Platform Co-founder&CEO、パナソニックに所属する濱松誠One JAPAN共同発起人・代表、八子知礼ウフル専務執行役員IoTイノベーションセンター所長がパネリストとしてセッションに参加。ここに経産省の池田陽子製造産業局総務課課長補佐(IoT・人材・業種横断施策担当)と河野孝史商務情報政策局情報経済課課長補佐(総括担当)が加わった。(以上、五十音順)

左から経済産業省の河野氏、コマツの笹井氏

 まず河野氏が、3月にドイツで開かれた国際情報通信技術見本市(CeBIT2017)で経産省が、わが国の産業が目指す姿のコンセプト「コネクテッドインダストリーズ」を発表した経緯を説明。「旧来の枠を越えた新たな連携を通じ、最初からグローバル市場を狙うことを目指すべき」と話した。

すべてがサービス業化

 それを受け、須藤氏が「コネクテッドな企業とコネクテッドではない企業の違い」を、アマゾンとウォルマート、ネットフリックスなどネット配信企業と従来のテレビとを比較して例示。「モノを売ったらおしまい、という世界ではなくなってきた。モノの消費、所有の考え方が崩れ、すべての事業がサービス業化している。そこでどういうデータを持っているとサービスのクオリティを高められるかという段階になっている」と指摘した。濱松氏も「AI・IoTの進化により競合やパートナーなどの勢力図が変わる中、メーカーも従来のモノ売りからコトを創り出していかないといけない。変化に対応できない企業は取り残されていく」と危機感を表した。

左からトヨタ自動車の鈴木氏、Kaizen Platformの須藤氏、One JAPANの濱松氏

 鈴木氏は「トヨタはコネクテッドな会社になりたいと思っている。ただその目的は、お客さま・社会のためであって、新しいサービス提供を目指す中で、『手段』としてAIやビッグデータを活用することが必要となっている」と自動運転を見据えた取り組みを、笹井氏は「当社が売った建設機械でどれだけ稼いでもらえるかがわれわれのビジネス。ここに外の世界から参入され、ひっくり返される前に、コマツから仕掛けていこうということ」と、建設現場のプロセス全体をつないで場を提供するプラットフォーム「ランドログ」を立ち上げた背景をそれぞれ説明。

左からウフルの八子氏、経済産業省の池田氏

データは誰のモノ?

 コネクテッドインダストリーズが立ち上がると問題になるのがデータの扱い方。そこで須藤氏が「データは誰のモノか?その利用を制限しすぎると何もできなくなる」と問題提起した。経産省は「データの利用権限に関する契約ガイドライン」を5月30日に発表しており、河野氏が「データが競争力の源泉になるという話が先行し、これが過剰な囲い込みにつながると問題。データは所有より利用の権限で分けていくべき」と解説し、池田氏も「データ収集に取り組む企業は増えているが、活用できている企業の割合は変わっていない」と指摘する。八子氏は「企業が抱え込んでいるデータは外から見ると宝の山。データを流通させることを前提とした社会を作るべき」と訴えた。加えて「上司と部下や、経営と現場、自社と顧客やパートナーなど、さまざまな境目をつなげるところからスタートしなければならない。会社の枠組みを超えてしまえば新しいことができるし、もはや業界の境目さえなくなってしまう」と、誰もが自らの枠を乗り越えることに期待をかけた。