鉱工業出荷は勢いを取り戻すのか
2019年2月は国内向け、海外向けともに上昇だが
前月比マイナスからの反動増
2019年2月の鉱工業出荷(速報値)は、季節調整済指数で101.6、前月比1.8%と、4か月ぶりの上昇となった。内需(国内向け出荷)が前月比0.9%の上昇、外需(輸出向け出荷)は前月比7.2%の上昇だった。
国内向け出荷、輸出向け出荷ともに、前月の大きめの前月比低下からの反動増となったが、輸出向け出荷は1月の前月比低下(マイナス7.2%)から大きく回復したのに対し、国内向け出荷は1月の前月比低下(マイナス2.9%)からの戻りは強くなかった。
出荷全体の上昇に対する影響度では、輸出向け出荷の上昇寄与の方が大きくなった。
輸送機械工業の上昇 大きく寄与
2月の国内向け出荷の業種別動向をみると、12業種中8業種が前月比上昇だった。特に上昇寄与が大きかったのは輸送機械工業だった。中でも乗用車の上昇が大きく寄与していた。輸送機械工業に次ぐ上昇寄与を見せたのは電気・情報通信機械工業だった。
2月の輸出向け出荷の業種別動向をみると、12業種中7業種が前月比上昇となった。特に上昇寄与が大きかったのは輸送機械工業だった。中でも船舶・同機関の上昇が大きく寄与していた。輸送機械工業に次いで、生産用機械工業、鉄鋼・非鉄金属工業も上昇に寄与した。
寄与度を見ると、2月は国内向け出荷、輸出向け出荷ともに、輸送機械工業の大幅な前月比上昇が両者の回復をけん引した形になっていた。輸送機械工業以外の業種について、3月以降出荷の勢いを回復していくのか、注目されるところである。
また、電子部品・デバイス工業は、輸出向け出荷・国内向け出荷ともに、4か月連続の前月比低下となっており、こちらも気になるところだ。
国内企業の設備投資に変化の可能性
2月の需要先別用途別分類(財別分類)の国内向け/輸出向け出荷の動きを比較してみる。
まず、製造業の中間投入となる鉱工業用生産財については、国内向け出荷が前月比マイナス1.0%と2か月連続の低下だった。輸出向け出荷は前月比0.5%と4か月ぶりの上昇だった。 設備投資向けとなる資本財(除.輸送機械)については、国内向け出荷は前月比マイナス0.6%と4か月連続の低下だった。輸出向け出荷は、前月比4.4%と4か月ぶりの上昇だった。設備投資向けの財の輸出向け出荷は、2月はひとまず下げ止まりをみせたが、国内向け出荷の低下は2月も続いており、国内企業の設備投資に変化が生じている可能性も感じさせる。
消費向けの財では、耐久消費財の国内向け出荷が前月比8.1%と3か月ぶりで上昇し、輸出向け出荷は前月比2.7%と2か月ぶりの上昇となった。
非耐久消費財については、国内向け出荷は前月比マイナス2.2%と2か月ぶりに低下する一方、輸出向け出荷は前月比5.7%と2か月ぶりの上昇となった。
韓国向け以外は上昇
2月の主要仕向け先別の輸出向け出荷の動きをみると、韓国向けは低下したものの、多くの地域向けで上昇した。前月の輸出は幅広い地域向けで低下していましたが、2月は多くの地域向けで反動増がみられた。
米国向けや欧州向けについては1月の低下分の多くを回復した。一方、アジア向けでは、中国向けはひとまず1月の低下分の多くを回復していたものの、韓国向けの低下に加え、ASEAN向けも2月の回復は大きなものではなかった。
今後とも、海外経済の動向とともに、輸出向け出荷がどう推移していくのか、注目されるところである。
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