高水準が維持された鉱工業生産
2カ月連続の前月比マイナスも、第4四半期の指数値は2018年最高水準に
2018年12月の鉱工業生産は、季節調整済指数104.7、前月比マイナス0.1%低下と、2か月連続の前月比低下となった。自然災害の影響のあった同年第3四半期の指数値が103.1で、その前の期の同年第2四半期の指数値が104.5であったことから考えると、12月の生産指数の水準は高くなっている。
速報段階ではあるが、同年第4四半期でも指数値は105.1となり、第4四半期の鉱工業生産は、2018年で最も高い水準となった。通年で見ても、2018年の指数値は104.1、前年比1.0%と、前年2017年に続き前年比上昇との結果となった。
生産は6業種で前月比マイナス
12月の鉱工業生産を業種別にみると、6業種が前月比低下、9業種が前月比上昇となった。鉱工業生産全体は、2か月連続の前月比マイナスではあるものの、各業種の動きでは、連続して生産が低下している業種は少なく、11月に生産が上昇した業種の多くで12月に生産が低下した一方、11月に生産が低下した業種の多くで12月に生産が上昇しており、これらが合わさった結果として12月は生産が若干減となった。
生産の低下寄与の大きかった業種としては、生産用機械工業、化学工業(除.無機・有機化学工業・医薬品)、そして電子部品・デバイス工業が挙げられる。
生産用機械工業では印刷機械、半導体製造装置等の低下寄与が大きくなっている。化学工業(除.無機・有機化学工業・医薬品)では乳液・化粧水類、日焼け止め・日焼け用化粧品等で低下寄与が大きい。その他、電子部品・デバイス工業では2か月連続の低下である。
他方、上昇寄与業種としては、汎用・業務用機械工業、自動車工業、そして電気・情報通信機械工業が挙げられる。汎用・業務用機械工業は、前月は大きく低下していたが、12月はその反動もあり、上昇となった。また自動車工業は3か月連続の上昇となった。
出荷は前月比上昇
12月の鉱工業出荷は、指数値103.6、前月比0.3%と2か月ぶりの前月比上昇となった。その指数レベルも、2018年では4月、10月に次いで、6月と並ぶ高水準となっている。
出荷の上昇寄与の大きかった業種としては、自動車工業、汎用・業務用機械工業、輸送機械工業(除.自動車工業)といった業種が挙げられる。自動車工業においては、普通乗用車等の出荷が上昇したことで、12月は年間通して4月に次ぐ高い水準となった。汎用・業務用機械工業では、一般用蒸気タービン等が上昇に寄与した。その他、輸送機械工業(除.自動車工業)でも前月は前月比で低下したものの、12月は上昇することになった。
財の需要先の用途別分類である財別出荷指数をみると、生産財の出荷は前月比0.1%上昇、最終需要財の出荷は前月比マイナス0.1%低下だった。
生産財については、鉱工業生産の低下もあり鉱工業用生産財は前月比マイナス0.3%と低下したものの、その他用生産財が前月比2.9%の上昇をみせ、前月比上昇に寄与した。
最終需要財については、耐久消費財の出荷は上昇したものの、非耐久消費財や資本財(除.輸送機械)、建設財で出荷が低下し、全体では出荷はわずかながら低下することとなった。
在庫は前月比上昇
12月の鉱工業在庫は、指数値102.4、前月比1.0%と2か月連続の前月比上昇となった。12月の業種別の在庫では、10業種の在庫が前月比上昇となった。業種別には、電気・情報通信機械工業、鉄鋼・非鉄金属工業、そして化学工業(除.無機・有機化学工業・医薬品)の在庫上昇の影響が大きくなっている。
基調判断は据え置き
2018年12月の鉱工業生産は、2か月連続の前月比マイナスだった。ただ12月初旬の企業の生産計画の集計結果からは、上方バイアスを補正すると前月比マイナス0.7%の低下が想定されていたが、12月実績値は上記の想定ほどは低下せず、前月比でマイナス0.1%と、若干の低下にとどまった。
四半期ベースで見れば、第4四半期は自然災害の影響で生産が低下した第3四半期のみならず、その前の第2四半期の水準も上回り、2018年で最高水準となっており、12月までのところでは、上昇基調は続いていると考えられる。
先行きについては、企業の生産計画の集計値そのままをみれば、1月の生産は前月比で若干の低下、2月は前月比で上昇となっている。企業の生産計画の上方バイアスを考えれば、実際には1月はさらに低下するものと想定されますが、2月以降この低下分を回復するか、注視していきたい。
これらの結果を踏まえ、12月の鉱工業生産の基調判断については、「生産は緩やかな持ち直し」に据え置いた。
【関連情報】
2018年12月の鉱工業生産は、2か月連続の前月比低下となったものの、低下は小幅にとどまった。第4四半期の指数値は、自然災害の影響のあった第3四半期から回復し、年間での最高水準に上昇。2018年通年で見ても前年比上昇。