7月の鉱工業生産は、電気・情報通信機械工業や生産用機械工業などで2か月ぶりの上昇。基調判断は「一進一退」に引き上げ
7月生産は2か月ぶりの前月比上昇
2024年7月の鉱工業生産は、季節調整済指数102.8、前月比2.8%の上昇となった。
これまでの生産の動向については、2024年1月と2月は、工場稼働停止などの影響を受けて、自動車工業等が低下したことから、全体として2か月連続で低下していたが、3月は、工場稼働再開などの影響を受けて、自動車工業等が上昇したことなどから、全体として上昇した。
その後、4月は、前月の大幅上昇の反動などを受けて、化学工業(除.無機・有機化学工業)や輸送機械工業(除.自動車工業)等が低下したことなどから、全体として低下していた。
こうした中、5月は、工場稼働再開などの影響を受けて、自動車工業等が上昇したことなどから、全体として上昇したが、6月は工場稼働停止などの影響を受けて、自動車工業等が低下したことなどから、全体として低下、そして7月は電気・情報通信機械工業や生産用機械工業をはじめ幅広い業種で上昇したことから、全体として2か月ぶりに上昇した。
全15業種のうち14業種が上昇
7月の鉱工業生産を業種別にみると、全15業種のうち14業種が前月比上昇という結果だった。
電気・情報通信機械工業や生産用機械工業をはじめ幅広い業種で上昇したことから、全体として上昇した。
上昇寄与度の最も大きかった電気・情報通信機械工業は、レーダ装置等が主な上昇要因となっている。このほか、次に上昇寄与が大きかった生産用機械工業では半導体製造装置等が、その次に上昇寄与が大きかった電子部品・デバイス工業ではモス型IC(メモリ)等が主な上昇要因となっている。
出荷は2か月ぶりの上昇
7月の鉱工業出荷は、季節調整済指数101.4、前月比2.4%と、2か月ぶりの上昇となった。
業種別にみると、全15業種のうち13業種が上昇という結果だった。
7月は、電気・情報通信機械工業、生産用機械工業等が上昇したことから、全体として上昇した。
上昇寄与度の最も大きかった電気・情報通信機械工業ではレーダ装置等が、次に上昇寄与が大きかった生産用機械工業では、半導体製造装置等が上昇要因となっている。
財の需要先の用途別分類である財別出荷指数をみると、生産財が、モス型IC(メモリ)やリチウムイオン蓄電池等の出荷増により、前月比3.3%と上昇。資本財(除.輸送機械)が半導体製造装置やレーダ装置等の出荷増により、同7.0%と上昇。また、建設財が同6.3%と上昇、耐久消費財が同0.1%と上昇となった。一方、非耐久消費財は同マイナス0.3%と低下となった。
在庫は2か月ぶりの上昇
7月の鉱工業在庫は、季節調整済指数103.0、前月比0.4%と、2か月ぶりの上昇となった。
業種別にみると、全15業種のうち、4業種が上昇、11業種が低下となった。
上昇寄与度の最も大きかった自動車工業は、普通乗用車や普通トラック等が主な上昇要因となっている。
在庫率は2か月ぶりの低下
7月の鉱工業在庫率は、季節調整済指数104.4、前月比マイナス2.3%と、2か月ぶりの低下となった。
業種別にみると、全15業種のうち、11業種が低下、4業種が上昇となった。
在庫循環図をみると、2021年第3四半期までは、「在庫積み増し局面」にあり、同年第4四半期から2023年第2四半期までの期間は、「在庫積み上がり局面」に位置していたが、2023年第3四半期には、「在庫調整局面」に達し、2024年第3四半期(速)では、「在庫調整局面」を抜け出て「意図せざる在庫減局面」に入った。
これまで、一部の業種において、積極的に在庫の削減に取り組まれてきたと考えられるが、その効果が顕在化されてきた可能性があり、今後の動向に注視していく必要がある。
7月の生産の基調判断は、「一進一退」に引き上げ
2024年7月の鉱工業生産は、前月比2.8%と上昇した。
これまでの生産は、2024年1月と2月は、工場稼働停止などの影響を受けて、自動車工業等が低下したことから、全体として2か月連続で低下していたが、3月は、工場稼働再開などの影響を受けて、自動車工業等が上昇したことなどから、全体として上昇した。
その後、4月は、前月の大幅上昇の反動などを受けて、化学工業(除.無機・有機化学工業)や輸送機械工業(除.自動車工業)等が低下したことなどから、全体として低下した。
こうした中、5月は、工場稼働再開などの影響を受けて、自動車工業等が上昇したことなどから、全体として上昇したが、6月は工場稼働停止などの影響を受けて、自動車工業等が低下したことなどから、全体として低下、そして7月は電気・情報通信機械工業や生産用機械工業をはじめ幅広い業種で上昇したことから、全体として2か月ぶりに上昇した。
こうした中、在庫循環図をみると、2024年第3四半期(速)では、「在庫調整局面」を抜け出て「意図せざる在庫減局面」に入った。これまで、一部の業種において、積極的に在庫の削減に取り組まれてきたと考えられるが、その効果が顕在化されてきた可能性がある。
また、先行きに関しては、企業の生産計画では、8月は上昇、9月は低下を見込んでいるが、企業の生産計画は、しばしば実績から上振れする傾向があることから、こうした影響も考慮すれば、一進一退の傾向は継続するものと見込まれる。
こうした状況を踏まえ、鉱工業生産の7月の基調判断については、先月までの「一進一退ながら弱含み」から、「一進一退」に引き上げる。
なお、今後は、世界経済の動向などについて、注視していく。