地域で輝く企業

【東京発】楽しみながら健康になる!「笑顔の創造」追求する「遊び」の伝道師

東京都港区 プレイケア

「プレイケア」が運営する「プレイケアセンター」。毎週地域のお年寄りが通ってくる

遊びは子どもや若者たちだけのものではない。遊びを通して、高齢者の毎日を潤いのあるものにし、心と体を健康に保っていく。「プレイケア」はさながら「遊びの伝道師」として、自治体や企業などと連携し、全国各地で高齢者が集い、遊ぶ「デジタルヘルスケアラボ」を展開している。

遊びながら健康になる。遊びながら地域社会を元気にする。玩具・ゲームメーカー出身の川﨑陽一社長(52)が目指す「笑顔の創造」とは……。

薬局の一角で、eスポーツに笑顔、歓声!

10月初旬のお昼過ぎ、東京都八王子市の繁華街からほど近い建物に、高齢の男女が次々と吸い込まれていく。60代から80代の高齢者約15人が集まってきたのは、大手薬局チェーンの一角。「プレイケア」が運営している「プレイケアセンター京王八王子」だ。

この日は、全員が「健康ゲーム指導士」の指導の下、免疫力を高めるという体操に汗を流した後、eスポーツを体験。音楽に合わせて太鼓をたたくゲームに興じた。うまくいくと拍手や歓声が起こり、高得点をたたき出したひとには、「うまい!」「すごい!」のかけ声が飛ぶ。プレイしている人、見ている人、いずれも楽しそうな笑顔だ。

ここでは、こうした無料の「地域健康講座」をほぼ毎週開催している。

「健康ゲーム指導士」の指導でゲームに挑戦。笑顔がはじけ、歓声が上がる

社長は玩具・ゲームメーカー出身。社内ベンチャー大会で入賞し起業

川﨑社長は、大学で「産業立地論」を学んだ後、「テーマパークがつくりたい」と大手玩具・ゲームメーカーのバンダイに就職した。現在の事業に乗り出すきっかけは、バンダイで子ども向け玩具のマーケティングを担当していた20年以上前にさかのぼる。当時、社内の有志とともにボランティア団体を作り、高齢者施設に出向き、レクリエーションなどを行う活動を続けていた。

「そこで施設の職員さんたちが、レクリエーションがマンネリ化して困っている現状を目の当たりにしました。各地の施設で『何かいいネタありませんか?』と相談を受ける中で、玩具やゲーム業界の資産を、医療や介護の分野でもっと活用できるのではと考えるようになりました」

玩具・ゲームメーカー出身の川﨑社長。「現場が大好き」と今も全国各地を飛び回る

2003年にはバンダイの社内ベンチャー大会で、高齢者向けの事業を発表し入賞。2007年に「プレイケア」の設立に踏み切った。

現在、全国で31の「プレイセンター」を運営しており、利用会員は約3万人。講座を持ってくれたり、コンテンツを提供してくれたりする協力企業も100社以上に上るという。

「プレイケアセンター」など施設運営のほか、レクリエーションを指導できる人材を育てる教育および運営受託事業、地域でヘルスケア事業を展開するために自治体と企業をつなげるマッチング事業などが、「プレイケア」の柱となっている。

教育事業では、現場でレクリエーションを指導する「プレイケアリーダー」や各地で地域講座などの運営にあたる「プレイケアマネージャー」などの資格を創設し、育成。これまでに3万施設が参加している。

マッチング事業の例としては、経済産業省関東経済産業局が設立した「関東ヘルスケア・ラボ・コンソーシアム(KH-Lab)」の中核として、自治体と企業のマッチングやヘルスケアビジネスの実証実験に取り組んでいる。

「様々な事業を展開していますが、大事なのは『楽しいか、楽しくないか』を高齢者の皆様に直接うかがうことです。高齢者に楽しいと思ってもらい、笑顔になってもらえるものを全国に展開しています」

VRやメタバースの世界にも高齢者は興味津々

VRやメタバースに興味津々。「健康ゲーム指導士」とねんりんピック目指す

今、力を入れているものの一つがeスポーツを通じたアクティビティだ。川﨑社長自身が理事長を務める「日本アクティビティ協会」で指導者を養成し、すでに3000人以上が「健康ゲーム指導士」として全国で活動している。

「eスポーツは来年から全国健康福祉祭(ねんりんピック)の種目にもなります。そこを目指して頑張ろうという動きが出てきています。実は、VRやメタバースにも高齢者の方は大変興味を持っています。バーチャル旅行や買い物もそうですが、誰かと話したい、コミュニケーションしたいということが一番の関心なんです」

民間企業・団体とコラボ。人生の最期もゲームで考える

企業や団体とコラボして商品・サービスの開発にも取り組んでいる。医師、看護師らと開発した「人生100年これからゲーム」もその一つ。人生の最期をどのように過ごしたいか、2年間かけて534人の高齢者とその家族にアンケート調査。そこから抽出した1000以上の言葉を分類し、52枚のカードゲームにしたものだ。「医療」「生活ケア」「人間関係」「価値観」の4分野各13枚とジョーカー2枚を使って、楽しみながら人生の最期を家族や友人と一緒に考えようというゲームだ。

人生の最期について考えるカードゲーム。医師、看護師らと一緒に開発した

お菓子メーカーとは、噛む力を測定できるガムの開発も行った。これまでに100社以上と連携し、シニア向けのヒット商品・サービスも生まれている。

「自治体と民間企業が一緒になって展開することで、事業の持続性が高まります。自治体の信頼と民間企業のノウハウを掛け合わせた場こそ、高齢者が最も参加しやすいと思います。そういう場をたくさん作っていきたい」

担い手発掘し、社会参加を支援。海外にも可能性

近年、体育大や美大、音大から、専門知識を介護や医療の分野でいかしたいという若者も増えているという。また、各地で趣味や特技、職歴などを生かした講師を発掘。そうした若者や講師陣と介護の現場をつなげるマッチング事業にも乗り出している。川﨑社長は「色々な分野からこの世界を目指して欲しい。様々な角度から社会に参加する機会を創出するのも、取り組むべき仕事だと思っています」と強調する。

高齢化の進展は、日本以外の国でも大きな課題となっている。「プレイケア」も韓国や台湾の企業などと提携関係を築いてきた。「他国から見ると、日本は高齢化社会の課題先進国です。経験、ノウハウはそうした国にとっても、間違いなく貴重なものになると思います」(川﨑社長)

自治体や企業と地域の高齢者をつなぎ、「笑顔の創造」を目指す。「プレイケア=楽しく、健康!」の追求は、これから本格化する。

【企業情報】
▽公式サイト=http://www.playcare.jp/▽社長=川﨑陽一▽社員数=22人▽設立=2007年