60秒早わかり解説
ガン・ジャンピング規制って?
承認前の海外M&Aは「フライング」
皆さんは、「ガン・ジャンピング」という言葉を聞いたことがあるだろうか。一般的には競技開始の銃声を待たずにスタートを切ってしまうこと、いわゆる「フライング」を意味する。この言葉は、企業の合併や買収を行う際の違反行為としても使われるのだ。
M&A取引は1つの選択肢だが
企業にとって、市場シェアの拡大や新規展開、自社にない技術やノウハウ取得の手段として、M&A取引は選択肢の1つである。日本企業が関係するM&A取引は、2017年に3000件超と近年著しく増加している。しかしその実行には、各国・地域の独禁当局の承認が必要だ。
巨額の制裁金が課せられることも
日本企業同士のM&A取引でも、海外で事業を行っている場合は、日本の独禁法に加え、諸外国・地域の独禁法によるガン・ジャンピング違反にも注意が必要だ。例えば、当局の承認を得る前の取引実行や、取引の過程での当事会社間での機微情報の交換が該当する。欧米を中心にガン・ジャンピングへの執行は強化されつつあり、巨額の制裁金が課された事例も存在するのだ。
適切な管理でリスクを限りなく低下
ガン・ジャンピング違反は、意図せずに違反行為を行い、当局からの指摘で初めて違反を認識することが多い。しかし違反を恐れて萎縮するのではなく、事前準備や機微情報の管理の徹底など適切なリスク管理により、違反となる可能性を限りなく低下させることも可能だ。
公正かつ適正な取引を期待
特に、諸外国・地域の独禁法では違反とされる行為が抽象的な場合もある。
解決策としては本報告書に記載の事例や対策を参考に、リスクへ適切な対応を行うことであり、これにより公正かつ適正なM&A取引が推進されることが期待される。
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