政策特集サーキュラー・エコノミー移行への第一歩 vol.4

自治体と事業者の連携で取り組むプラ資源循環

東京都の取り組みと先進事例

 生産→提供→廃棄の一方向で資源を消費する経済の仕組みを見直し、廃棄物を抑制して資源を循環させるサーキュラーエコノミー(循環経済、CE)。プラスチック等の資源循環がさらに進むことは、CEへの移行に向けた大きな一歩になる。最近はこうした考え方に賛同する自治体や企業が連携することで、先進的な取り組みが展開されている。

全過程でトレーサビリティを確保し再生

 2021年11月から東京都全域でプラ回収・リサイクルに関する実証プロジェクトが始まった。「POOL PROJECT TOKYO」と銘打たれた実証の取り組みはこうだ。不動産、小売、流通企業などの協力を得て、東京都内の商業施設から発生した廃プラを自主回収する。回収した廃プラは、排出元から輸送・減容・加工など全過程でトレーサビリティを確保した再生材「POOL樹脂」としてリサイクルし、製造事業者に販売する。

「POOL PROJECT TOKYO」取り組みのイメージ

 実証プロジェクトは、資源循環プラットフォームを手がけるレコテック(東京都千代田区)が事業主体となり東京都と共同で実施した。花王、三菱地所、三越伊勢丹HDなどの大手企業も参画している。トレーサビリティ情報の確立にレコテックが開発したプラットフォームを活用し、廃棄物の種類、量、どこから廃棄されたかなどの情報を見える化できる。実証では、新たなリサイクルチェーン構築の可能性を検証すると同時に、POOL樹脂を活用した製品開発などを進める計画だ。

各工程における情報連携のイメージ

自治体の支援策を活用

 実証プロジェクトが拡大した背景には、プラ資源循環に対する企業の関心の高まりに加え、取り組みを支える自治体独自の支援策がある。

 東京都は2021年度から「プラスチック資源循環に向けた革新的技術・ビジネスモデル推進プロジェクト」を実施している。事業者・団体が連携し、使い捨てプラスチックの2R(リデュース・リユース)や、バージン資源と同等の樹脂に戻す「水平リサイクル」の実装化などのプロジェクトを公募。選定を受けた事業に対し、事業費の2分の1の範囲内(調査分析事業:上限500万円まで、実証事業:上限1000万円まで)手当するほか、関係者間の調整など側面支援を行う。これまでに5つのプロジェクトが採択され、都と事業者が連携しながら、シャンプーボトル等の水平リサイクルやリユース容器のシェアリングサービスなどさまざまな実証を行ってきた。

実証プロジェクト全国展開へサポート

 東京都はこれまでも水平リサイクル推進など、事業者や業界団体と連携しながら取り組んできた。さらなるプラ資源循環の促進に向け、自治体はどんな役割が求められるのか。東京都環境局 資源循環推進部の上林山隆部長に話を聞いた。

東京都環境局 資源循環推進部 上林山隆部長

 -自治体としてプラ資源循環の促進に力を入れています。

 「プラ資源循環の推進は、東京都が掲げる「2030年カーボンハーフ」の流れに位置づけられた取り組みです。CEへの移行はサプライチェーンにおける脱炭素化に貢献します。特に2Rによるプラ消費量削減や、水平リサイクルなどを推進してきました。こうした取り組みに対し『再生利用がどれくらい増えたのか』『CO2削減にどれほど寄与するのか』など、関心を持たれる都民の方は多くいらっしゃいます」

 -プラスチック資源循環促進法(プラ法)の施行をどのように受け止めていますか。

 「プラ資源循環を後押しする意義ある法律で、CE実現に向けた第一歩になることを期待しています。また、廃棄物処理法の業許可のない事業者でも、大臣認定により使用済みプラ製品を自主回収・再資源化できる制度も始まります。メーカーなどによるプラ製品の自主回収が広がれば、民間の廃プラ回収量の増加が期待できます。また、産業廃棄物の廃プラスチックの再資源化についても大臣認定で関係業者が動きやすくなります。今後、諸制度の具体的な中身が示されますが、動向を注視しています」

 -さまざまなプラ製品廃棄物を回収可能にする「一括回収」の取り組みは、回収を担う市区町村の財政負担が増加する場合も考えられます。

 「難しい課題ですが、住民の利便性やリサイクル率向上に寄与することは確かだと思います。東京都としては、プラ資源の一括回収に対する国の財政支援を要求しており、それが実現される見通しになりました。東京都としても、プラ資源の一括回収に取り組む都内自治体への支援事業を2022年度予算に計上しました。今後は市区町村に対し、国の制度と補完し合う形で、都道府県が運用面の課題をサポートすることが必要だと考えています」

 -民間企業と連携して実証に取り組む「POOL PROJECT TOKYO」をどのようにみていますか。

 「数多くの企業が、業界の垣根や競合関係を超えて参画する取り組みに発展しました。回収からリサイクルまでサプライチェーン全体を包括し、トレーサビリティ技術も社会実装を進めるうえで重要なものです。実証は順調に進んでおり、今後のビジネス展開が期待できます。今後は得られたデータから課題を整理した後、プロジェクトを東京から全国展開できるようサポートしたいと思います」

 -資源循環への関心が高まるなか、都道府県などの自治体にはどんな役割が求められるでしょうか。

 「それは『コーディネート力』ではないでしょうか。私たちの立場では、動脈産業・静脈産業の双方の事業者や、住民などのさまざまな要望を集約して、最適解を導くことが求められます。各自治体には住民や事業者と日々コミュニケーションをとれる担当者がおり、地域の情報の蓄積もあります。これらを活用することで、取り組みの効果を最大化できると考えています。さらに、民間の競合関係とは異なる立場で支援が行え、上手く事業をアレンジすることで連携・協業を進めやすくなると考えています。プラ法の施行をきっかけに、今後はこうした役割が必要とされる場面が増えると感じています」
 

【関連情報】

「POOL PROJECT TOKYO」概要

プラスチック資源循環に向けた革新的技術・ビジネスモデル推進プロジェクト(東京都)