政策特集サーキュラー・エコノミー移行への第一歩 vol.2

官民で取り組むサーキュラー・エコノミー

循環経済パートナーシップ(J4CE)創設


 

 サーキュラー・エコノミー(循環経済、CE)の実現には、政府、民間企業、国際機関などさまざまな関係組織・団体が取り組みに参画することが求められる。世界的にCEへの移行の要請が高まるなか、日本において画期的な官民連携の枠組みが立ち上がった。

CE実現に向け「官民連携」を強化

 日本経済団体連合会(経団連)、環境省、経済産業省は、CE実現に向けた取り組みの加速化を目指す「循環経済パートナーシップ(J4CE=ジェイフォース)」を2021年3月に創設した。

 パートナーシップの目的は「国内の企業を含めて幅広い関係者の循環経済への更なる理解熟成と取組の促進及び国際社会におけるプレゼンス向上を目指して、官民連携を強化すること」。官民でCEに関する施策の共有や対話、ビジネス・マッチング会合の開催、日本企業の技術や取り組みの事例収集と国内外への情報発信などを行う。

J4CEの取り組みとねらい

 設立初年度に力を注いだのは、対話と情報発信だ。これまでに4回の官民対話を実施した。J4CEは民間側から、経団連の構成企業・団体それぞれ123社・16団体が参画している(2022年2月末現在)。官民それぞれが直面する課題について、施策面、ビジネス面などをいくつかの切り口で整理し、双方の認識を共有。CE促進の具体的な取り組みに向けた課題の見える化を進めている。

 また、CEへの移行を後押しする企業・団体の取り組み事例139件(2022年2月末現在)を取りまとめてウェブサイトで公表。専門家などの視点から、特筆すべき28の取り組みを「注目事例」として選定した。ペットボトル、家電・電気電子機器、自動車・バッテリーなどの分野でプラスチックを含む資源循環の取り組みや同業・異業種連携、モノのサービス化などの取り組み内容を事例集にまとめた。2021年10月―11月に英国で開催された気候変動枠組条約締結国会議(COP26)のサイドイベントでも、J4CEや国内の事例が紹介された。

COP26ジャパンパビリオンのサイドイベント「循環経済×カーボンニュートラル」


 これらは日本の取り組みを外部に発信することに加え、国内の企業・団体が現在CEに関する課題をどう認識し、取り組みを実践しているか整理・把握することにも役立つ。そこでの認識は官民対話の場でも共有し、課題設定やJ4CEの将来の活動に生かす。今後はこれまでの活動で浮かび上がった課題の解決に向け、より深いレベルでの対話を行う。また、事業者が業界を越えて課題や情報を共有する場としてもJ4CEを活用する。4月にはビジネス・マッチングを目的とした会合を開催予定で、事業者の課題解決やCE実現に向けた民間主体の取り組み活性化に期待をかける。

国全体でリソースを出し合う必要

 大手企業や業種別団体・経済団体によって構成される経団連は、J4CEの取り組みや、CEへの移行に向けた将来像をどのように考えているのか。環境エネルギー本部の長谷川雅巳本部長に話を聞いた。

日本経済団体連合会 環境エネルギー本部 長谷川雅巳本部長

―J4CEを創設、参画した経緯は。

 「経団連では『循環型社会形成自主行動計画』の策定をはじめ、CEに関する議論や提言を取りまとめた実績があります。当初の背景には、廃棄物の最終処分場の逼迫への問題意識がありました。近年は廃プラ問題などからCEへの関心が国際的に高まり、日本も世界に先駆けて資源循環に取り組むことが求められています。これまでの議論を通じて、CEへの移行には経済界だけではなく、法整備を含む社会システム全体で取り組む必要があるということを認識していました。官と対話しながら取り組んでこそ、より意味があるものになると考えています」

 ―創設から約1年を経て、J4CEの意義をどのように感じていますか。

 「官民が一堂に会して忌憚なく対話できる場を形成できたことに手応えを感じています。社会課題の解決手法が、特定の業界・事業者に負担が偏ることや、過剰な規制などにならないよう官民で解決策を議論できることは一つの意義だと思います。また、官を巻き込むだけでなく、事業者同士がヨコ連携できるプラットフォームとしてもJ4CEを活用できると考えています」

 ―これまでの議論の中ではどんな課題や意見がありましたか。

 「最も多く課題が寄せられたのは、コストに関することでした。例えば、製品に再生材を使用する場合は材料費などの費用面に加え、均質な素材をいかに資源として収集するかといった運用面の課題があります。これらはサプライチェーン全体で取り組むべき課題であり、事業者も動脈産業(資源を加工して製品を製造し販売する産業)・静脈産業(製品を回収し再使用・再生利用・適正処分を行う産業)の双方で課題や情報を共有する必要があります」

 「また、4月に施行されるプラスチック資源循環促進法は、規制緩和により民間側の課題を解決していただいた点もあります。社会環境は日進月歩で変わっていくものなので、施行後は変化に柔軟かつ合理的に対応できるよう運用していただきたいと思います」

 ―J4CEや、CE実現に向けた今後の展望を教えてください。

 「今年度に整理した課題を踏まえて、今後はCEを実現するために具体的にどうするか検討するフェーズに入ります。いかに事業者を含む国全体でリソースを出し合い、取り組めるかが重要になります。CEへの移行は、研究開発への支援に加え、補助金や規制緩和などの手段が考えられます。これらを検討する過程で、従来型の民間の「提言」からは見えにくい、事業者の実態を国と共有するためにも、J4CEは重要な対話の場になると思います」
 
 
【関連情報】

循環経済パートナーシップ(J4CE)HP

取組事例(J4CE)

J4CE注目事例集(2021)