統計は語る

1月の鉱工業生産:多くの業種で上昇も、自動車工業が大幅に低下

1月生産は2か月連続の前月比低下

 2022年1月の鉱工業生産は、季節調整済指数95.2、前月比マイナス1.3%と、2か月連続の低下となった。

 これまでの生産の動向については、2021年以降、半導体不足やアジアでの新型コロナウイルス感染症拡大に伴う部材供給不足などの影響から、9月まで低下基調での推移となった。

 その後、部材供給不足の影響の緩和などにより、10月、11月と2か月連続で上昇した。だが、12月は、前月の大幅上昇に対する反動に加えて、部材供給不足や物流逼迫などの影響を受けて、再び低下した。

 2022年1月は、新型コロナウイルス感染症急拡大や部材供給不足などの影響を受けて、2か月連続で低下した。

 この結果、2022年1月の生産水準は、2021年10月(指数値91.1)以来の低い水準となった。

図表01

5業種が前月比低下、10業種が前月比上昇

 1月の鉱工業生産を業種別にみると、全体15業種のうち5業種が前月比低下、10業種が前月比上昇という結果だった。

 1月は、多くの業種で上昇した一方で、新型コロナウイルス感染症急拡大や部材供給不足などの影響を受けて、自動車工業が大幅に低下したことなどから、全体として低下した。

図表02
図表03

 主な低下寄与業種についてみると、低下寄与の最も大きかった自動車工業は、普通乗用車や小型乗用車等が主な低下要因となっている。普通乗用車や小型自動車等については、新型コロナウイルス感染症急拡大や部材供給不足などの影響を受けて、低下した。

出荷は4か月ぶりの低下

 1月の鉱工業出荷は、季節調整済指数93.7、前月比マイナス1.8%と、4か月ぶりの低下となった。

図表04

 業種別にみると、全体15業種のうち7業種が低下、8業種が上昇となった。

 1月は、生産と同様に、自動車工業が大幅に低下したことなどから、全体として低下した。

 主な低下寄与業種についてみると、低下寄与の最も大きかった自動車工業は、普通乗用車や小型乗用車等が主な低下要因となっている。生産と同様の理由により低下したものと考えられる。

 財の需要先の用途別分類である財別出荷指数をみると、耐久消費財が前月比12.5%の低下、生産財が同1.4%の低下であった。一方で、資本財(除.輸送機械)が同6.7%の上昇、建設財が同2.4%の上昇、非耐久消費財が同0.5%の上昇となった。耐久消費財は、普通乗用車や小型乗用車などの低下を受けて、4か月ぶりに低下した。

図表05
図表06
図表07

在庫は5か月ぶりの低下

 1月の鉱工業在庫は、季節調整済指数99.0、前月比マイナス1.8%と、5か月ぶりの低下となった。

 業種別にみると、15業種のうち9業種が低下、6業種が上昇となった。

 低下寄与業種の中では、特に、自動車工業の低下寄与が大きくなっている。自動車工業では、生産が大幅に低下したことなどから、在庫が低下したと思われる。

図表08
図表09

在庫率は低下

 1月の鉱工業在庫率は、季節調整済指数114.3、前月比マイナス1.3%と、4か月連続の低下となった。

 業種別にみると、15業種のうち13業種が低下、2業種が上昇となった。

図表10

 在庫循環図をみると、2020年第4四半期と2021年第1四半期は、「意図せざる在庫減局面」にあり、2021年第2四半期には、「在庫積み増し局面」に達し、第3四半期も継続した。だが、第4四半期では、「在庫積み上がり局面」に達し、2022年第1四半期(速)も同局面に位置している。

 しかしながら、部材調達不足などによる生産減少の影響が含まれていることなどから、今後、もうしばらくその動向を注視していく必要がある。

図表11

1月の生産の基調判断は「持ち直しの動きがみられる」に据え置き

 1月の鉱工業生産は、前月比1.3%の低下となった。生産は、2021年7月から9月まで、部材供給不足の影響などにより3か月連続で低下したが、10月と11月は、その影響が緩和されたことなどを受けて、2か月連続で上昇した。

 その後、12月は、前月の大幅上昇に対する反動に加えて、部材供給不足や物流逼迫などの影響を受けて、再び低下した。

 1月は、多くの業種で上昇した一方で、新型コロナウイルス感染症急拡大や部材供給不足などの影響を受けて、自動車工業が大幅に低下したことなどから、全体として2か月連続で低下した。

 また、先行きに関しては、企業の生産計画では、2月と3月はともに上昇となっていて、2月の補正値は前月比0.7%の上昇となり、ならしてみると持ち直しの動きにあると考えられる。

 こうした状況を踏まえ、鉱工業生産の1月の基調判断については、「持ち直しの動きがみられる」に据え置く。

 なお、今後は、変異タイプの新型コロナウイルス感染症の拡大による内外経済への影響や、部材調達不足の影響、ウクライナ情勢などについて注視していく。

 

 

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