60秒早わかり解説
日本発!わかりやすいパッケージが世界を駆け巡る
シャンプー容器のギザギザ。目をつぶっていてもリンスやボディーソープなどと間違えない工夫は、26年前、1企業の取組から始まり、国内に広く普及した好例だ。このような高齢者や障害のある方にも配慮した日本発のパッケージの設計方法が、国際規格に認定された。
包装・容器の担う役割
生活製品は、工場で容器に収められ、運ばれ、店頭に並び、私達の手元に届く。中身が空になった容器は、捨てられたり、リサイクルに回される。包装・容器は製品をユーザーに届けるだけでなく、中の製品の種別や効果や効能、大きさや重さ、運び方・保管・廃棄の仕方などの情報を伝える役割もある。
安全にも配慮
包装・容器で情報を伝える時、文字や図そのものがシンプルであることや、誰にでも分かりやすい色のコントラストをつけることが大切だ。また、飲み物や薬は取り違えると命の危険につながる恐れもあり、文字や図に加え、触って分かる凸記号など複数の表示があることが望まれる。見え方や理解の仕方も使う人によって様々なため、開発する時はユーザーの声が重要になる。
“伝える工夫”を国際規格に
日本では、ユーザーへの配慮として、中身の区別のしやすさや空けやすさ等を包装・容器に取り入れてきた。そして2013年には、国際標準化機構(ISO)に包装・容器のアクセシブルデザインに関する提案を行い、各国専門家による審議、投票を経て、2017年11月に国際規格に認められた。国際標準化の過程では、年齢、知覚や認知する能力の違い、身体的な差異、言語や文化の違いへの対応が求められた。今後、日本が育てた知見が誰にも優しい製品として世界中に普及することが期待される。