アジアから世界の貿易業務の電子化を
アジアDXに挑む「トレードワルツ」
経済産業省は、成長戦略実行計画(令和2年7月17日閣議決定)に位置づけられているように、日本企業がアジアの新興国企業と連携し、デジタル技術を活用して社会課題を解決するための新産業創出「アジアDX」を後押ししている。そのパイオニア的な存在、トレードワルツはアジア大の貿易情報連携プラットフォーム『TradeWaltz』の構築を目指している。
貿易業務の完全電子化に挑む
貿易業務は、商社やメーカー、物流、銀行、保険など民間企業に加え、税関など国の機関も関わっており、手続書類は紙が主流。近年、企業内ではシステム化が進んでいるが、各社が受け取った書類の情報は自社システムに入力し直すなど、紙書類ベースの壮大な伝言ゲームとなっており処理には膨大な時間を要する。『TradeWaltz』は、ブロックチェーン技術を活用した貿易実務システムだ。
経済産業省としても、各国政府との会談等の場でとりあげるなど、同社の取組を支援している。2021年5月には、政府間の国際会議の場で、シンガポールやタイ、オーストラリア、ニュージーランドの通関システムとの連携に向けたプランの発表が行われた。
アジアでのオープンイノベーション
アジアは日本と近い社会課題を抱えており、既存の事業を応用しやすい環境にある。その一方、デジタル分野は双方にとって未開拓の分野であり、「対等な立場でデジタルの新事業を共創し、オープンイノベーションを起こす最適の舞台」と取締役CEO室長の染谷悟氏は語る。
また、未開拓で先例が少ないため、既存の商慣行などにとらわれることがなく、若手のアイデアや感性が求められるという。同社では、新たなチャレンジに意欲のある若手人材の募集にも力を入れている。
アジアDXの挑戦を政府も応援
経済産業省は、アジアDX関連事業に関する海外政府との調整のほか、日本貿易振興機構(ジェトロ)を通じて、オンラインを活用したマッチング、ウェビナーなどの開催や、アジア新興国企業と日本企業間での実証事業の支援などのメニューを用意している。詳しくは、経産省アジアDXプロジェクトページおよびジェトロDXポータルサイトを参照してほしい。
【関連情報】
経産省アジアDXプロジェクト