デジタル市場を使いやすく-デジタルプラットフォーム取引透明化法とは
中小企業やベンチャー、フリーランスにとって、オンラインモールやアプリストアなどのデジタルプラットフォーム(以下、DPF)の利用は、市場へのアクセスや新規顧客の獲得が容易となるなど、大きなメリットを有するもの。一方で、こうしたDPFの利用者からは、「出店手数料などの規約を一方的に変更される」、「DPF提供者や関連会社の商品が優先的に上位に表示されている」といった指摘も見られる。
独占禁止法違反行為を未然に抑止
仮に、DPF提供者が優越的地位を濫用し、公正な競争を阻害する行為を行う場合、独占禁止法による是正措置が執られる。4月から実質的に運用を開始した「デジタルプラットフォーム取引透明化法」は、国が指定するDPF提供者に対し取引の透明性・公平性を確保する取組を促し、独占禁止法の違反行為を未然に抑止するものだ。
規制対象となるDPF提供者を指定
令和3年4月、経済産業省は、同法の規制対象となる5者のオンラインモール及びアプリストア提供事業者を指定した。これらの事業者には、取引条件変更の内容や理由の事前通知、DPF利用者から取得するデータの利用範囲の開示、さらには公正な取引を確保するための体制整備を行い、これら取組の状況や自己評価を付したレポートを毎年度経済産業省に提出することが義務付けられる。
経済産業省は、幅広い関係者の意見を聴きながら、報告内容をレビューし、DPFの透明性や公正性についての評価結果を公表する。DPF提供者は、評価結果を踏まえて、DPFの透明性や公正性の自主的な向上に努める必要がある。この一連のサイクルによって、デジタル市場の健全な発展を促していく。また、独占禁止法違反の恐れがあると認められる場合には、公正取引委員会に対し、独占禁止法に基づく対処を要請する。
DPF取引相談窓口の設置
あわせて、「デジタルプラットフォーム取引相談窓口」を設置した。DPF利用する事業者が抱える取引上の課題の解決に向けた相談に無料で応じるとともに、必要に応じ、弁護士の情報提供や一部費用の補助も行う。DPFの利用にあたって、取引上の課題があるなど、お困りの際には、ぜひ活用いただきたい。