2020年12月の鉱工業出荷 2か月連続の前月比低下
輸出向けも7か月ぶりに
2020年12月の鉱工業出荷は、季節調整済指数で92.3、前月比マイナス1.6%と2か月連続の低下となった。出荷は5月に今基準内の最低水準だった指数値76.8を底に、6月から10月までに5か月連続で上昇し、94.9まで回復したが、11月、12月は2か月連続の低下となった。内需(国内向け出荷)は前月比マイナス1.5%、外需(輸出向け出荷)は前月比マイナス2.2%の低下となり、12月は内需、外需とも出荷全体のマイナスに寄与した。
出荷水準をみると、まず国内向け出荷指数については、12月の指数値は91.7で、新型コロナウイルス感染症拡大前の1月の97.3と比べると未だ低い水準となっている。
輸出向け出荷指数は、12月の指数値は94.9となった。3月から5月まで3か月連続で大幅に低下した後、6月から11月まで6か月連続で上昇したが、7か月ぶりの低下となった。11月は97.0と、感染症拡大前の1月の水準(96.5)を上回ったものの、12月は再びそれを下回ることとなった。ただ、輸出向け出荷は、一時は国内向けより大幅に落ち込んだが、その後回復を続け、10月以降は国内向け出荷を上回る回復をみせている。
汎用・業務用機械工業など大きく低下
12月の国内向け出荷の業種別動向をみると、12業種中、輸送機械工業を除く11業種が前月比低下となった。特に低下寄与が大きかったのは汎用・業務用機械工業だった。なかでもボイラ・原動機、汎用機械器具部品などが低下した
それに次ぐ低下寄与をみせたのは電気・情報通信機械工業だった。なかでも電子計算機、電池などが低下した。
12月の輸出向け出荷の業種別動向をみると、12業種中、4業種が前月比低下となった。特に低下寄与が大きかったのは輸送機械工業だった。なかでも船舶・同機関、乗用車などが低下した。
次いで低下寄与が大きかったのは、電気・情報通信機械工業だった。なかでも電池、回転電気機械などが低下した。
需要先用途別の動向は
12月の需要先別用途別分類(財別分類)の国内向け/輸出向け出荷の動きを比較してみる。
まず、製造業の中間投入となる鉱工業用生産財については、国内向け出荷は前月比マイナス1.6%と2か月連続の低下だった。輸出向け出荷は前月比1.3%と2か月ぶりの上昇だった。
設備投資向けとなる資本財(輸送機械を除く)については、国内向け出荷は前月比マイナス10.3%と4か月ぶりの低下となった。輸出向け出荷は、前月比マイナス0.1%と4か月ぶりの低下となった。
建設財については、国内向け出荷は前月比マイナス0.9%と2か月連続の低下、輸出向け出荷は前月比1.4%と2か月ぶりの上昇となった。
消費向けの財では、まず耐久消費財の国内向け出荷は前月比マイナス4.1%、2か月連続の低下となった。輸出向け出荷は前月比マイナス10.0%、2か月連続の低下となった。輸出向け出荷は5月に28.8まで低落した指数値が、10月は86.4と2月の86.7以来の水準まで回復したが、そこから2か月連続で低下し、74.7となった。国内向け、輸出向けともに乗用車が低下に大きく寄与した。
非耐久消費財については、国内向け出荷は前月比マイナス0.6%と3か月連続の低下、輸出向け出荷は前月比マイナス1.3%と2か月ぶりの低下となった。
国内向け出荷では、生産財や耐久消費財をはじめ、全ての財が低下となった。輸出向け出荷では、生産財などは上昇したものの、耐久消費財や資本財などが低下したことで、輸出向け出荷全体では低下となった。
ASEAN、韓国向けなどは上昇
12月の主要仕向け先別の輸出向け出荷の動きをみると、ASEAN向け、韓国向けなどは上昇したものの、欧州向け、米国向けなどが低下となっている。
12月は特に、感染症の影響からの回復が遅れていたASEAN向けや韓国向けが大幅に上昇したものの、欧州向け、米国向けが低下したため、輸出向け全体がマイナスになっている。
アジア向けはこのところ中国向け以外でも回復傾向がみられるものの、欧米向けは感染症の感染再拡大の影響で低下した可能性もあり、1月以降の動向にも注意が必要だ。
輸入品、総供給の動向は
一方、輸入の動向をみると、12月は、季節調整済指数で92.5、前月比マイナス2.0%と2か月連続の低下となった。
業種別の動向をみると、13業種中、8業種が前月比低下、5業種が上昇となり、特に電気・情報通信機械工業が低下に大きく寄与した。
国産は前月比マイナス1.4%と2か月連続の低下となり、鉱工業総供給は、前月比マイナス1.3%と2か月連続の低下となった。
12月の出荷は、輸出向け出荷が7か月ぶりに低下へ転じた一方、国内向け出荷は全ての財がマイナスとなり、2か月連続の低下となった。
一方、2021年1月初旬の製造工業生産予測調査の結果では、企業の生産は1月は大幅に上昇の計画であることから、出荷についても、1月の上昇が期待される。
ただ、足下の状況では、新型コロナウイルス感染症の感染再拡大は国内外で続いており、それによる下振れリスクにも十分注意する必要がある。日本でも1月に緊急事態宣言が発出され、また先般、3月7日までの延長が決定されたことから、1月以降、出荷が国内向け・輸出向けそれぞれどのように推移していくかについても、注視していきたい。
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