前月比低下ながらも公共工事復調の動き続く
2019年7月の建設業活動指数
活動水準は維持
2019年7月の建設業活動は、前月比マイナス1.4%と2か月連続の低下、指数値は112.1となった。
前月比連続低下は、今年に入ってから初めてのことであり、昨年9~10月の2か月連続低下以来のこととなる。指数値も3か月ぶりに112台の水準に戻ってしまった。ただ、今年に入ってから5月までの5か月間で6.3ポイントも指数値は上昇していた。これを踏まえれば、ここ2か月の連続低下分2.3ポイントは月平均下落率としては大きめだが、年前半の好調な持ち直しの動きの反動的側面があるとみられる。なお、前年同月比は0.7%の上昇と、3か月連続の前年超えが続いている。
最近の傾向値(後方3か月移動平均値)の推移をみると、昨年後半以降、速いテンポでの低落が続いていたが、今年1月の大幅上昇により上昇方向へ転じ、先月6月時点ではこの流れが継続していた。7月時点では微減ながらも、ほぼ横ばいで推移しており、このところの上昇基調にあった活動水準を維持していることが確認できる。
民間発注工事、公共工事ともに低下だが
7月の建設業活動は、民間発注工事が前月比マイナス1.2%と2か月連続の低下、公共工事が前月比マイナス2.0%と4か月ぶりの低下となった。ともに土木工事の低下が強く寄与した。
ただ、公共工事の今年に入ってからの動きは順調な動きをみせており、7月単体の低下幅は先月6月の3%を超える上昇幅からみれば、現時点ではまだ反発的減少とみることができる。また活動水準も活況だった第2四半期水準を維持している。
前月比の低下インパクトが大きかったのは公共工事の方だが、民間発注工事の個人投資、企業投資とも失速感がみられるなど、すう勢という観点では民間発注工事の動きが気になるところである。
内訳5事業でみれば、民間発注工事は非住宅建築、土木工事が前月比低下だったが、公共工事は建築工事、土木工事とも前月比低下と、わずかながらも上昇した民間住宅建築を除く4事業が低下した。
各内訳5事業の動きを細かくみていく。
民間発注工事では、住宅建築は前月比0.1%と4か月ぶりの上昇、指数値は103.3となった。上昇とはいえほぼ横ばいであり、弱い基調に変化はみられず、このところの失速感の解消にまでは至っていない。なお、指数値でみれば、2016年5月の102.6以来の低い活動域での動きがここ2か月続いている。
非住宅(工場や倉庫など)建築は前月比マイナス0.7%と3か月連続の低下だった。1月から4月までは4か月連続で1%を超える前月比上昇で、この間9.2ポイントも指数値が急上昇したが、5月以降の3か月間は一転して連続低下、この間マイナス6.1ポイント指数値が降下した。活動量としてはまだ低落前に比べ高く、複数月に及ぶ一律的な上昇、低下を繰り返すなど、中期的に不安定な動きをみせている。引き続き来月以降の動きを注視していく必要があるだろう。
民間土木工事は前月比マイナス6.0%と2か月連続の低下となった。このところ大きめの上昇・低下をみせており、動きが不安定な状況にあったが、7月の指数値は99.4と、好調だった第2四半期値106.7に比べ大幅に活動量は減衰している。先月までの動きには復調の兆しも感じられたが、ここにきて様相が変わってきた。なお、指数値が100を下回ったのは2017年3月以来のこととなる。
民間の非住宅建築、土木工事の2事業からなる民間企業の設備投資関連工事は、今年5月までは、5か月連続上昇と強い上昇傾向にあったが、6月が前月比マイナス3.9%、7月が前月比マイナス1.7%と連続低下となり、勢いに陰りがみえてきた。
公共工事では、建築工事(庁舎、学校、病院など)は前月比マイナス2.1%と4か月ぶりの低下、土木工事は前月比マイナス2.0%と2か月ぶりの低下だった。今年に入ってからこれまでの動きは、建築工事、土木工事とも大きめの前月比上昇をみせることが多く、復調の動きがみられていた。今月7月は、前月比低下となったが、建築工事、土木工事とも7月の低下幅は6月の上昇幅を下回っています。また、好調だった第2四半期値と比較しても、7月の建築工事は1ポイント以上も活動量は大きく、土木工事もほぼ同等の活動量を維持している。
全体としてみると、月単位の動きは上下動が激しく不安定さがある公共工事だが、7月の動きを持って、今年に入ってからの復調の動きが変化したとまでは言い切れない。
勢いは減速も持ち直しの動きを継続
2019年7月の建設業活動は、2か月連続の前月比低下となった。ただ、ここ2か月の連続低下の動きは5月までの好調な動きとは異なる動きとはいえ、今年前半の強い上昇傾向のなかの反発的動きの範ちゅうにあるともみられる。
内訳事業では、このところの民間住宅建築工事の動きの弱さはこの7月でも改善には至らず、堅調な動きにあった民間企業の設備投資関連工事にもここにきて伸び悩みも感じられるようになってはいるものの、もともと月々の動きに不安定さがある公共工事には、まだ復調の動きが継続しているとみられる。
これらの状況を踏まえ、7月時点の建設業活動全体の基調を、「持ち直しの動きがみられる」と評価し、判断は据え置かれている。
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