統計は語る

事業者向け取引に復調の兆し

2019年7月の全産業活動指数

 
 2019年7月の全産業活動指数は、前月比0.2%と2か月ぶりの上昇となった。今年4~5月の大型連休効果の反動的な動きは、全産業全体への影響としては6月のみにとどまった模様だ。指数値は106.2と、今基準内のリーマンショック後としては最高値となる活動量にまで復帰した5月と比べれば小さいものの、ここ4か月はいずれも106台の高い活動水準を維持している。

 傾向値(後方3か月移動平均値)の推移をみると、今年1月に高い活動域を維持しつつも低下方向に転じ、以降、低下方向への動きが続いていたが、年度明けとなる4月から再度上昇傾向に変化した。7月はわずか下降したもののほぼ横ばいで推移し、低落期からの復活度という点においては、今年に入り傾向値が低下に転じる前の昨年12月とほぼ 同等の位置を維持していることがみてとれる。

鉱工業生産とサービス産業活動が上昇

 7月の結果を産業別にみると、建設業活動は前月比マイナス1.4%と2か月連続の低下だったが、鉱工業生産は前月比1.3%と2か月ぶりの上昇、サービス産業活動は前月比0.1%と3か月ぶりの上昇だった。
 7月の全産業活動の上昇に、最も大きく寄与した鉱工業生産だが、先月6月が前月比マイナス3%台半ばであり、すう勢という視点では、このところ横ばい気味での推移という状況にみえることから、完全に復調したというまでには至っていないようである。ただ、サービス産業活動の卸売業が2か月連続上昇で、前年同月比も8か月ぶりにプラスとなるなど、このところ動きが弱かったモノ取引のうち、事業者向け取引には、復調の兆しもみえてきた。なお、一般消費者向けのモノ取引にあたる小売業では、梅雨明けの遅れなどの天候要因もあり、弱い動きは続いている。

全体としては依然足踏み

 2019年7月は、内訳3活動のうち鉱工業生産とサービス産業活動が前月比上昇だった。3活動を横断的にみれば、このところ動きの弱かったモノ取引のうち、事業者向け取引は僅かながらも復調の兆しがみえてきた。サービス産業活動も、例年にない大型連休の反動的動き、消費疲れともいうべき動きも最小限にとどまり、天候のマイナス要因もあった割には、微増ながらも前月比上昇だった。建設業活動も、今年前半の強い勢いは影を潜めたが、それでも最近としては大きめの活動量を維持している。
 各指数の基調判断は、鉱工業生産は「一進一退」と判断を据え置いているが、サービス産業活動は「高い水準で横ばい」と、やや判断を下方修正している。建設業活動も、「持ち直しの動き」の範ちゅうにあるものとみられる。
 全産業活動全体では、7月は2か月ぶりの前月比上昇だった。指数値は依然として高い水準域を維持しており、3か月移動平均で測る「すう勢」も、上昇の勢いは衰えた感があるが、それでもこの高い水準を維持しつつ横ばい気味に推移している。
 これらを総合的に判断し、2019年7月時点の全産業活動は、持ち直しの動きに「足踏みがみられる」に据え置かれている。

【関連情報】

全産業活動指数 結果概要