民間建築工事 復調への兆し鮮明に
2019年3月の建設活動指数
3か月連続の前月比プラス
2019年3月の建設業活動は、前月比0.3%と3か月連続の上昇、指数値は111.9と、昨年6月以来となる112台に近い水準にまで復帰した。
前月比の3か月連続上昇は2017年11月から翌年1月にかけて3か月連続上昇して以来のこととなる。昨年5月から昨年末にかけての8か月間は前月比微増1回、横ばい1回以外は前月比低下とほぼ一律な低落だったので、これを踏まえれば、ここ3か月の動きはきわめて良い動きであるといえるだろう。また、前回の連続上昇時は3か月で指数値0.6ポイント上昇、今回は3か月で指数値3.8ポイント上昇であり、月当たり換算すると前回0.2ポイント→今回1.3ポイントと、連続上昇期間は同じだが平均風速は前回時を大きく上回っている。動きの強さという面でもきわめて良い状態にある。継続性、強さの両面で、今後へのさらなる期待感を持たせる動きといえるだろう。
ただ、昨年末までの8か月に及ぶほぼ一律な低落期の指数値降下分はマイナス5.8ポイントであるので、これに対する回復度はいまだに7割に達していない。このところの上昇方向への動きには勢いはあるものの、本格的な復調という意味では、まだもう少し時間がかかるものと考えられる。
最近の傾向値(後方3か月移動平均値)の推移をみると、速いテンポでの低落が続いていたが、1月の大幅上昇により上昇方向へ転じ、この流れが3月時点でも勢いを保ちつつ継続していることが確認できる。
なお、2019年第1四半期通期では、前期比1.8%の上昇と2017年第2四半期以来となる7期ぶりの上昇だった。
建設業活動指数は、2017年春を活動のピークに低落傾向にあるが、今年に入ってからの基調には変化がみられる。先月時点では、低落の底がみえてきた感があったが、反面、連続上昇の反動減も想定していたところであった。結果は、今月も微増ながらも上昇を続けている。この基調変化が、今後もさらに継続し、底打ちから持ち直しの動きに変わってくるのか、来月以降の動きに注目したい。
民間発注工事3事業すべて上昇
3月の建設業活動は、民間発注工事が前月比2.2%と3か月連続の上昇、公共工事が前月比マイナス1.8%と3か月ぶりの低下と、動きは相反するものとなった。双方とも1月、2月は相対的にみて大幅な前月比上昇が続いたので、3月は大きめの反発低下も懸念されたが、結果、民間発注工事には反動減どころか、1月、2月の上げ幅を上回る2%台のさらに勢いを増した前月比上昇がみられた。
また、内訳5事業でみれば、すべての民間発注工事が前月比上昇となった。特に、民間建築活動の住宅、非住宅の双方とも3か月連続の前月比上昇と順調な動きが続いている。民間土木工事もこのところ不調だったが、この3月は前月比大幅上昇で、建設業活動全体の上昇度に対するインパクトは最も大きく、全体のけん引役となっている。
内訳5事業をみてみると、民間発注工事では、住宅建築は前月比1.0%と3か月連続の上昇だった。ここ3か月の指数値はいずれも104台超の水準で推移しており、2019年第1四半期通期では、前期比1.3%の上昇と2017年第2四半期以来、実に7期ぶりの上昇と底打ちの様相となった。
非住宅(工場や倉庫など)建築は前月比1.3%と3か月連続で1%を超える大幅上昇、指数値は今基準内最高位となる140.8にまで到達した。昨年8月から12月にかけての5か月連続低下と比べれば、このところの様相は一気に変化した。第1四半期通期でみても、前期比3.2%の大幅上昇と3期ぶりの上昇を果たし、こちらも底打ちの様相をみせている。
民間建築活動分野では、住宅、非住宅双方ともこれまでにない明るさが明確なものとなった。
民間・土木は前月比7.8%と2か月連続の上昇となった。このところ弱含みでの推移が続いていたが、3月の指数値は111.2と一気に上昇し、2017年4月以来となる110台の高水準域に位置している。ただ、第1四半期通期では前期比マイナス0.1%の低下であることから、反動的増加の意味合いが大きいものと思われる。
公共工事では、建築工事(庁舎、学校、病院など)は前月比マイナス3.0%の低下、土木工事は前月比マイナス2.2%の低下と、ともに3か月ぶりの低下だった。とはいえ、3月の低下幅は2月の上昇幅よりも小さいものだったので、第1四半期通期では建築工事が前期比2.2%と4期ぶりの上昇、土木工事が前期比3.5%と7期ぶりの上昇、と久方ぶり上昇となっている。
ただ、双方とも、もともと月単位の動きでみれば上下動が激しく不安定さがあることから、まだこの弱含み推移を脱したとまではいいきれない。
全体としても下げ止まりの動き
2019年3月の建設業活動は、約1年ぶりとなる3か月連続の前月比上昇、しかも1月、2月の強い上昇の動きにもかかわらず、3月微増ながらもプラス方向の動きを継続した。昨年末には2016年初頭頃の水準にまで降下した指数値は、8か月ぶりに112台目前の水準にまで復帰した。
内訳事業では、公共工事2事業の不安定な動きが続いているが、民間建築工事関連の2事業には下げ止まりが明確なものになった。民間土木工事も均してみれば弱含み傾向にあるが、3月単月の動き自体は強いものだった。
3月の動きには、1月、2月にみられた明るい兆しは更に鮮明なものとなってきた。2019年第1四半期通期では、多くの事業に久方ぶりとなる上昇の動きがみられた。総じてみれば、先月2月段階では、弱含み推移の底がみえてきた動きにあった建設業活動全体の動きには、さらなる改善の動きや明るい兆しの鮮明化がみられる。
よって、3月時点の建設業活動全体の基調は、不透明な要素を持ち越している側面はあるものの、期待値を含め「下げ止まりの動きがみられる」に微細だが上方修正している。
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