
1月の鉱工業生産は、生産用機械工業や電子部品・デバイス工業などが低下。基調判断は、「一進一退」に据え置き

1月の生産は3か月連続の前月比低下
2025年1月の鉱工業生産は、季節調整済指数100.5、前月比マイナス1.1%の低下となった。
これまでの生産の動向については、2024年9月は自動車工業や無機・有機化学工業などが上昇したことから、全体として上昇、10月も生産用機械工業や自動車工業などが上昇したことから、全体として上昇となった。11月は生産用機械工業や自動車工業などが低下したことから、全体として低下、12月も化学工業(除.無機・有機化学工業)、食料品・たばこ工業などが低下※したことから、全体として低下、そして2025年1月も生産用機械工業や電子部品・デバイス工業などが低下したことから、全体として3か月連続の低下となった。
※12月速報公表時点では、2024年12月は上昇となっていたが、12月確報で下方修正された結果、2024年12月は低下となった。

全15業種のうち9業種が低下
1月の鉱工業生産を業種別にみると、全15業種のうち9業種が前月比低下、6業種が同上昇という結果だった。
生産用機械工業や電子部品・デバイス工業などで低下したことから、全体として低下した。


低下寄与度の最も大きかった生産用機械工業では、半導体製造装置、超硬工具等が主な低下要因となっている。このほか、次に低下寄与度が大きかった電子部品・デバイス工業では、モス型IC(メモリ)、混成IC等が、その次に低下寄与度が大きかった電気・情報通信機械工業では、リチウムイオン蓄電池、X線装置等が主な低下要因となっている。
一方、上昇寄与度が最も大きかった自動車工業では、普通乗用車、小型乗用車等が主な上昇要因となっているほか、次に上昇寄与度が大きかった鉄鋼・非鉄金属工業では、銑鉄鋳物、アルミニウム鋳物等が主な上昇要因となっている。
出荷は2か月ぶりの低下
1月の鉱工業出荷は、季節調整済指数98.5、前月比マイナス1.5%と、2か月ぶりの低下となった。

業種別にみると、全15業種のうち10業種が前月比低下、5業種が同上昇という結果だった。
1月は、生産用機械工業、輸送機械工業(除.自動車工業)等が低下したことから、全体として低下した。
低下寄与度の最も大きかった生産用機械工業では、半導体製造装置、ショベル系掘削機械等が、次に低下寄与度が大きかった輸送機械工業(除.自動車工業)では、航空機用発動機部品、舶用ディーゼル機関等が主な低下要因となっている。
一方、上昇寄与度が最も大きかった自動車工業では普通乗用車、小型乗用車等が、次に上昇寄与度が大きかった化学工業(除.無機・有機化学工業・医薬品)では、乳液・化粧水類、頭髪用化粧品等が主な上昇要因となっている。
財の需要先の用途別分類である財別出荷指数をみると、資本財(除.輸送機械)が半導体製造装置、ショベル系掘削機械等の出荷減により、前月比マイナス11.0%と低下となった。一方、耐久消費財が普通乗用車や小型乗用車等の出荷増により同5.6%と上昇、生産財がプラスチック製機械器具部品や自動車用エンジン等の出荷増により同0.9%と上昇、非耐久消費財が乳液・化粧水類、頭髪用化粧品等の出荷増により同2.6%と上昇、建設財がシステムキッチンや電気照明器具(除.自動車用)の出荷増により同0.1%と上昇となった。



在庫は4か月ぶりの上昇
1月の鉱工業在庫は、季節調整済指数101.5、前月比0.9%と、4か月ぶりの上昇となった。
業種別にみると、全15業種のうち、7業種が前月比上昇、8業種が同低下となった。
上昇寄与度の最も大きかった自動車工業では、普通乗用車、普通トラック等が主な上昇要因となっている。一方、低下寄与度が最も大きかったその他工業では、合成繊維(短繊維)等が主な低下要因となっている。


在庫率は2か月ぶりの上昇
1月の鉱工業在庫率は、季節調整済指数106.7、前月比0.3%と、2か月ぶりの上昇となった。
業種別にみると、全15業種のうち、6業種が上昇、9業種が低下となった。

在庫循環図をみると、2021年第3四半期までは、「在庫積み増し局面」にあり、同年第4四半期から2023年第2四半期までの期間は、「在庫積み上がり局面」に位置していたが、2023年第3四半期には、「在庫調整局面」に達し、2024年第4四半期には、「在庫調整局面」を抜け出て「意図せざる在庫減局面」に入ったが、2025年第1四半期(速)では、再び「在庫調整局面」に逆戻りする結果となった。
これまで、一部の業種において、積極的に在庫の削減に取り組まれてきたと考えられ、その効果が顕在化されてきた可能性があるが、今後の動向に注視していく必要がある。

1月の生産の基調判断は、「一進一退」に据え置き
2025年1月の鉱工業生産は、前月比マイナス1.1%と低下した。
これまでの生産は、2024年9月は自動車工業や無機・有機化学工業などが上昇したことから上昇、10月も生産用機械工業や自動車工業などが上昇したことから上昇となった。11月は生産用機械工業や自動車工業などが低下したことから低下、12月も化学工業(除.無機・有機化学工業)、食料品・たばこ工業などが低下したことから低下、2025年1月も生産用機械工業や電子部品・デバイス工業などが低下したことから3か月連続で低下となった。
こうした中、先行きに関しては、企業の生産計画では、2月は上昇、3月は低下を見込んでおり、企業の生産計画は、しばしば実績から上振れする傾向があることから、こうした影響も考慮すれば、一進一退の傾向は継続するものと見込まれる。
こうした状況を踏まえ、鉱工業生産の1月の基調判断については、「一進一退」に据え置く。
なお、今後は、世界経済の動向などについて、注視していく。