大阪・関西万博特集

【万博60秒解説】いのちの思索場、シグネチャーパビリオン

まもなく開幕する大阪・関西万博。会場中央には、「シグネチャーパビリオン」が配置されています。生命の本質とは? 人間はこの先どう変わっていくのか? 8人のプロデューサーがそれぞれ全く異なる視点から、生命と人間性のビジョンを提示する最先端の実験空間。ここで何が体験できるのか? 独断と偏見を交えて、想像してみます。

「いのち輝く未来社会」というテーマの現代性

万博の誘致を始めた頃、関係者の頭にあったのは、「健康長寿」という漠然とした概念でしたが、調整を経て、「いのち輝く未来社会」のデザインが公式テーマとなりました。結果として実に時宜を得たテーマ設定となりました。コロナ禍で生死に向き合い、生命の存立が脅かされる時代。生命科学の加速度的な発展と生成AIによるデジタル技術の進化によって、生命がテクノロジーで拡張する時代。そうした人類の文明的な転換点に立っているという認識論が広がっています。地球上の生命・人間はどこへ向かうのか? そうした本質的なテーマを世界各国と共に考え、日本ならではの発想で解決策を含めた発信をしていく絶好の好機とも言えるのです。

「8者8様」の視座から斬る「生命」「人間性」

8つのパビリオンの詳細を60秒で解説するのはとても無理ですが、すべてのパビリオンに「いのち」にまつわる「サブタイトル」が付されている点にご注目ください。いのちを「守る」「つむぐ」「育む」「知る」「響き合わせる」「拡げる」「高める」「磨く」……。8つのパビリオンは、生命や人間性の本質的要素に焦点を当て、それらがどのように変容していくのか共通の「お題」として掲げています。例えば……

• 人間そっくりで知性を持つアンドロイドと人間が共生する社会で、あらゆる身体的障害や偏見が克服されていくのか?
• 人間や生命の本質は「データ」に還元できるのか?
• 他のいのちをいただいて生きていく運命を含めて生命は他者との関係性をどう紡いでいくべきなのか?
• 他者との対話や連帯のあり方は、生命活動にどのような意味を持つのか?
• 生命はどこから生まれ、どこへ向かうのか? いずれ宇宙に進出して適応進化していくのか?

—来館者は、否応無しに、そうした問いの数々を突きつけられることになります。

いのちを巡る「問い」と「視座」の重要性

いずれのパビリオンも、何か一つの確定的な答えを訴求しようとはしていません。生命の本質はどこにあり、どう変容していくのか? そこにあるのは、あくまで「問い」であり、8つの全く異なる「視座」です。私たちが考えるための「材料」だけが用意されているとも言えるでしょう。万博に来場される際には、ぜひ少なくとも一つ、できれば複数のシグネチャーパビリオンに足を運んでいただき、そこで新たに得る視座をもって、生命と人間性について、自分なりに感じ、考えていただきたい。それがかけがえのない重大な万博体験となるはずです。

経済産業省 博覧会推進室

【リンク先】
シグネチャーパビリオン