11月の鉱工業生産は、生産用機械工業や自動車工業などが低下し、3か月ぶりの低下。基調判断は「一進一退」に据え置き
11月の生産は3か月ぶりの前月比低下
2024年11月の鉱工業生産は、季節調整済指数101.7、前月比マイナス2.3%の低下となった。
これまでの生産の動向については、2024年1月~6月までは、自動車工業等における工場稼働停止や再開などの影響もあり、生産は一進一退ながら弱含みで推移してきたが、7月は電気・情報通信機械工業や生産用機械工業をはじめ幅広い業種で上昇したことから、全体として上昇、8月は台風による工場稼働停止などの影響を受けて、自動車工業等が低下したことから、全体として低下した。その後、9月は自動車工業や無機・有機化学工業などが上昇したことから、全体として上昇、10月も生産用機械工業や自動車工業などが上昇したことから、全体として上昇となったが、11月は生産用機械工業や自動車工業などが低下したことから、全体として3か月ぶりの低下となった。
全15業種のうち11業種が低下
11月の鉱工業生産を業種別にみると、全15業種のうち11業種が前月比低下、3業種が同上昇、1業種が同横ばいという結果だった。
生産用機械工業や自動車工業などで低下したことから、全体として低下した。
低下寄与度の最も大きかった生産用機械工業では、半導体製造装置、フラットパネル・ディスプレイ製造装置等が主な低下要因となっている。このほか、次に低下寄与度が大きかった自動車工業では、普通乗用車、小型乗用車等が、その次に低下寄与度が大きかった金属製品工業では、橋りょう、飲料用アルミニウム缶等が主な低下要因となっている。
一方、上昇寄与度が最も大きかった汎用・業務用機械工業では、コンベヤ等が主な上昇要因となっているほか、次に上昇寄与度が大きかった輸送機械工業(除.自動車工業)では、航空機用発動機部品等が主な上昇要因となっている。
出荷は3か月ぶりの低下
11月の鉱工業出荷は、季節調整済指数99.6、前月比マイナス2.7%と、3か月ぶりの低下となった。
業種別にみると、全15業種のうち11業種が前月比低下、4業種が同上昇という結果だった。
11月は、生産用機械工業、自動車工業等が低下したことから、全体として低下した。
低下寄与度の最も大きかった生産用機械工業では、半導体製造装置、ショベル系掘削機械等が、次に低下寄与度が大きかった自動車工業では、普通乗用車、小型乗用車等が主な低下要因となっている。
一方、上昇寄与度が最も大きかった汎用・業務用機械工業ではコンベヤ等が、次に上昇寄与度が大きかった石油・石炭製品工業では、灯油等が主な上昇要因となっている。
財の需要先の用途別分類である財別出荷指数をみると、生産財が自動車用エンジン、リチウムイオン蓄電池等の出荷減により、前月比マイナス1.1%と低下。耐久消費財が普通乗用車、小型乗用車等の出荷減により同マイナス3.9%と低下、資本財(除.輸送機械)が半導体製造装置、ショベル系掘削機械等の出荷減により同マイナス2.4%と低下となったほか、建設財が橋りょう等の出荷減により同マイナス3.5%と低下、非耐久消費財が仕上用化粧品等の出荷減により同マイナス0.5%と低下となった。
在庫は3か月ぶりの低下
11月の鉱工業在庫は、季節調整済指数101.4、前月比マイナス0.9%と、3か月ぶりの低下となった。
業種別にみると、全15業種のうち、7業種が前月比低下、7業種が同上昇、1業種が同横ばいとなった。
低下寄与度の最も大きかった自動車工業では、普通乗用車、普通トラック等が主な低下要因となっている。一方、上昇寄与度が最も大きかった電気・情報通信機械工業では、リチウムイオン蓄電池、自動車用電気照明器具等が主な上昇要因となっている。
在庫率は3か月ぶりの上昇
11月の鉱工業在庫率は、季節調整済指数107.9、前月比3.2%と、3か月ぶりの上昇となった。
業種別にみると、全15業種のうち、9業種が上昇、6業種が低下となった。
在庫循環図をみると、2021年第3四半期までは、「在庫積み増し局面」にあり、同年第4四半期から2023年第2四半期までの期間は、「在庫積み上がり局面」に位置していたが、2023年第3四半期には、「在庫調整局面」に達し、2024年第4四半期(速)では、「在庫調整局面」を抜け出て「意図せざる在庫減局面」に入った。
これまで、一部の業種において、積極的に在庫の削減に取り組まれてきたと考えられ、その効果が顕在化されてきた可能性があるが、今後の動向に注視していく必要がある。
11月の生産の基調判断は、「一進一退」に据え置き
2024年11月の鉱工業生産は、前月比マイナス2.3%と低下した。
これまでの生産は、2024年1月~6月までは、自動車工業等における工場稼働停止や再開などの影響もあり、生産は一進一退ながら弱含みで推移してきたが、7月は電気・情報通信機械工業や生産用機械工業をはじめ幅広い業種で上昇したことから、全体として上昇、8月は台風による工場稼働停止などの影響を受けて、自動車工業等が低下したことから低下した。その後、9月は自動車工業や無機・有機化学工業などが上昇したことから上昇、10月も生産用機械工業や自動車工業などが上昇したことから上昇となったが、11月は生産用機械工業や自動車工業などが低下したことから3か月ぶりの低下となった。
こうした中、先行きに関しては、企業の生産計画では、12月、1月ともに上昇を見込んでおり、企業の生産計画は、しばしば実績から上振れする傾向があることから、こうした影響も考慮すれば、一進一退の傾向は継続するものと見込まれる。
こうした状況を踏まえ、鉱工業生産の11月の基調判断については、「一進一退」に据え置く。
なお、今後は、世界経済の動向などについて、注視していく。