4月の鉱工業生産は「一進一退ながら弱含み」に据え置き。自動車工業を除く輸送機械工業が低下
4月生産は2か月ぶりの前月比低下
2024年4月の鉱工業生産は、季節調整済指数101.6、前月比マイナス0.1%となった。
これまでの生産の動向については、2023年12月は、汎用・業務用機械工業を中心に多くの業種が上昇したことなどから、全体として上昇していたが、2024年1月と2月は、工場稼働停止などの影響を受けて、自動車工業等が低下したことから、全体として2か月連続で低下した。
その後、3月は、工場稼働再開などの影響を受けて、自動車工業等が上昇したことなどから、全体として上昇した。
こうした中、4月は、前月の大幅上昇の反動などを受けて、輸送機械工業(除.自動車工業)等が低下したことなどから、全体として2か月ぶりに低下した。
7業種が前月比低下、8業種が同上昇
4月の鉱工業生産を業種別にみると、全体15業種のうち、7業種が低下、8業種が上昇という結果だった。
4月は、前月の大幅上昇の反動などを受けて、輸送機械工業(除.自動車工業)等が低下したことなどから、全体として低下した。
低下寄与度の最も大きかった輸送機械工業(除.自動車工業)は、航空機用発動機部品等が主な低下要因となっている。航空機用発動機部品については、これまでの上昇の反動などを受けて、低下したものと考えられる。
出荷は2か月連続の上昇
4月の鉱工業出荷は、季節調整済指数100.6、前月比0.2%と、2か月連続の上昇となった。
業種別にみると、全体15業種のうち、7業種が上昇、8業種が低下という結果だった。
4月は、工場稼働再開(出荷再開)などの影響を受けて、自動車工業等が上昇したことから、全体として上昇した。
上昇寄与度の最も大きかった自動車工業は、普通トラックや小型乗用車等が主な上昇要因となっている。これらについては、能登半島地震の影響による部材調達不足の解消や工場稼働再開(出荷再開)により、上昇したものと考えられる。
また、次に上昇寄与度の大きかった生産用機械工業は、半導体製造装置等が主な上昇要因となっている。半導体製造装置については、海外向けの販売が増加したことなどにより、上昇したものと考えられる。
財の需要先の用途別分類である財別出荷指数をみると、生産財が前月比マイナス0.6%、非耐久消費財が同マイナス0.2%、資本財(除.輸送機械)が同マイナス0.2%と低下した一方で、建設財が同4.8%、耐久消費財が同2.3%と上昇した。
在庫は3か月ぶりの低下
4月の鉱工業在庫は、季節調整済指数102.1、前月比マイナス0.5%と、3か月ぶりの低下となった。
業種別にみると、全15業種のうち、12業種が低下、3業種が上昇となった。
低下寄与度の最も大きかった無機・有機化学工業は、ポリエチレンや苛性ソーダ等が主な低下要因となっている。
在庫率は2か月ぶりの低下
4月の鉱工業在庫率は、季節調整済指数106.0、前月比マイナス1.1%と、2か月ぶりの低下となった。
業種別にみると、全15業種のうち、10業種が低下、5業種が上昇となった。
在庫循環図をみると、2021年第3四半期までは、「在庫積み増し局面」にあり、同年第4四半期から2023年第2四半期までの期間は、「在庫積み上がり局面」に位置していたが、2023年第3四半期には、「在庫調整局面」に達し、2024年第2四半期(速)まで継続している。
これまで、一部の業種において、積極的に在庫の削減に取り組まれてきたと考えられるが、その効果が顕在化されてきた可能性があり、今後の動向に注視していく必要がある。
4月の生産の基調判断は、「一進一退ながら弱含み」に据え置き
2024年4月の鉱工業生産は、前月比マイナス0.1%と低下した。
これまでの生産は、2023年12月は、汎用・業務用機械工業を中心に多くの業種が上昇したことなどから、全体として上昇したが、2024年1月と2月は、工場稼働停止などの影響を受けて、自動車工業等が低下したことから、全体として2か月連続で低下した。
その後、3月は、工場稼働再開などの影響を受けて、自動車工業等が上昇したことなどから、全体として上昇した。
こうした中、4月は、前月の大幅上昇の反動などを受けて、輸送機械工業(除.自動車工業)等が低下したことなどから、全体として2か月ぶりに低下した。
また、先行きに関しては、企業の生産計画では、5月は上昇、6月は低下を見込んでおり、ならしてみると一進一退の傾向は継続する中で弱含みの状態にあると考えられる。
こうした状況を踏まえ、鉱工業生産の4月の基調判断については、「一進一退ながら弱含み」に据え置く。
なお、今後は、世界経済の動向や自動車工業における工場稼働再開の状況などについて、注視していく。