製造工業の生産計画は、４月、５月ともに前月比上昇の見込み。企業の生産マインドも改善傾向に

経済解析室では、毎月初旬に、主要製品の生産計画を調べている。調査対象製品を製造する企業のうち、主要企業を対象に、その月と翌月の生産計画を調査している。

今回は、４月初旬に調査した４月と５月の生産計画の状況と、４月初旬での企業の生産マインドについて解説する。

４月、５月の生産はともに上昇の計画

４月の生産計画では、前月比4.1％の上昇を見込んでいる。この計画どおりに生産されれば、４月の鉱工業生産の実績は、２か月連続の上昇が見込まれる。

ただし、生産計画は、生産実績よりも上振れする傾向がある。そこで、４月の生産計画について、生産実績との間で生じるズレを統計的に補正すると、４月の生産実績の見通しは、前月比1.0％の低下見込みとなる。

なお、５月の生産計画については、４月の計画から4.4％の上昇見込みだ。

４月と５月の２か月を通じた生産計画

４月と５月の２か月の生産計画による業種ごとの生産予測の伸び率を通してみると、以下の図のようになる。

４月の生産計画では、全体11業種のうち、７業種が前月比上昇、４業種が前月比低下、５月の生産計画では、８業種が前月比上昇、３業種が前月比低下の計画となっている。製造工業全体の生産は、４月、５月を通して上昇する見込みである。

４月の生産計画は、生産用機械工業が、半導体・フラットパネルディスプレイ製造装置の海外向け受注増により増産を見込むなど、全体としては上昇の見込みだ。

なお、海外景気の下振れ等により、生産計画は下方修正されるリスクもあり、先行きについては注視が必要である。

５月の生産計画は、輸送機械工業が、乗用車の生産上昇を見込むことなどから、全体としては上昇する見通しとしている。

４月の生産計画の強気と弱気

次に企業の生産マインドについてみていく。

企業の生産マインドは、３月当初に調べた４月の生産計画が、４月当初に再度調べ直した計画と比べ、どの程度変動したか（予測修正率）をみることで確認することができる。

４月の生産計画における予測修正率はマイナス0.2％と、37か月連続で下方修正となっているものの、低下幅が前月より縮小している。

この背景には、輸送機械工業における工場稼働再開の影響や、能登半島地震の影響が緩和したことなどが考えられる。

生産計画を上方修正した企業数の割合から、下方修正した企業数の割合を引いた数値をみることで、企業の生産マインドを推し量ることができる。

この数値の推移と、これまでの景気循環を重ねると、月々の上下動をならしたトレンドが、概ねマイナス５を下回ると景気後退局面入りの可能性が高いという傾向がみられる。

４月の生産計画では、この数値の単月の値はマイナス2.3、月々の上下動をならしたトレンドはマイナス1.1と、単月とトレンドのいずれもマイナス５を上回り、改善傾向が続いている。

生産計画からみる今後の見通し

生産計画は、４月、５月ともに前月比上昇を見込んでおり、１月の大幅な低下からの回復が期待される。また、予測修正率等からみる企業の生産マインドは、輸送機械工業における工場稼働再開の影響などにより、改善傾向にある。

なお、引き続き、海外景気の下振れ等の影響について注視する必要がある。

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参考図表集
マンガ「ビジネス環境分析にも使える！鉱工業指数(IIP)」