統計は語る

第1四半期上昇から第2四半期低下に転じたフード・ビジネス

フード・ビジネス・インデックス(Food Business Index、以下FBIという。)とは、生活に身近な飲食料品に関連する「食料品工業」、「食料品流通業」、「飲食店、飲食サービス業」の活動状況を把握できるよう試算した経済指標である。

今回は、2023年上期分の数値をまとめた「飲食関連産業の動向(2023年上期)」スライド資料より抜粋してFBIの動きを紹介する。

フード・ビジネス・インデックス(FBI)のしくみ(2015年基準)

2023年上期フード・ビジネス・インデックスの動き

下のグラフは、FBIの四半期毎の推移を表したものである。2023年上期、第1四半期は前期比2.1%と上昇したが、第2四半期は前期比マイナス1.2%の低下となった。

前年2022年の動きを振り返ってみると、3月までの新型コロナウイルス感染症のまん延防止等重点措置により、第1四半期は低下し、指数値90.8と低い水準となった。3月下旬の解除により、第2四半期は上昇となったが、それ以降は横ばい圏内の動きとなっている。

2023年第1四半期は上昇し、指数値94.4となったが、続く第2四半期は低下し、指数値93.3となった。

    FBI(季節調節値)の推移(四半期)    

FBIを構成する3業種をみると、「飲食店、飲食サービス業」は第1四半期に前期比10.5%と大きく上昇したが、第2四半期は前期比マイナス3.0%と低下した。「食料品工業」は、第1四半期に前期比0.5%とわずかに上昇したが、第2四半期はマイナス1.6%と低下した。「食料品流通業」は、2022年以降わずかに上下しながらほぼ横ばいで推移し、第2四半期は指数値96.6となった。

FBI(季節調節済)の内訳構成業種の推移(四半期)

FBIの伸び率に対する3業種の影響度合い(寄与度)をみると、第1四半期の前期比2.1%に対し、最も影響が大きかったのは「飲食店、飲食サービス業」で、2.6%ポイントと上昇に寄与した。第2四半期は、FBIの前期比マイナス1.2%に対し、「飲食店、飲食サービス業」がマイナス0.8%ポイント、次いで「食料品工業」がマイナス0.4%ポイントの低下寄与となった。

FBI(季節調節済)の伸び率に対する内訳業種の影響度合い

第1四半期は「飲食店、飲食サービス業」の上昇の影響大

次に、2023年上期のFBI上昇及び低下に最も大きく影響した「飲食店、飲食サービス業」の内訳の動きをみていく。

2022年の「飲食店、飲食サービス業」を振り返ると、第1四半期に低下したが、第2四半期は大幅に上昇し、第3、4四半期はわずかに低下した。

2023年に入り、第1四半期に前期比10.5%と大きく上昇、第2四半期は前期比マイナス3.0%と低下した。

「喫茶店」、「飲食サービス業」、「食堂、レストラン、専門店」は第1、第2四半期連続して上昇した。「ファーストフード店」は第1四半期に上昇し、第2四半期は横ばいとなっている。

「パブレストラン、居酒屋」は第1四半期に大きく上昇したものの、第2四半期は低下に転じた。

2023年上期の上昇は、2023年に入りマスク着用が個人判断とされるなど、コロナ禍前の生活に戻りつつある中、外出機会が増加したこと、さらに新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行による影響が考えられる。一方、「パブレストラン、居酒屋」は、第1四半期に大きく上昇したものの、第2四半期には大きく低下となり、コロナ禍前の水準から離れた状況が続いている。

飲食店、飲食サービス業(季節調節済)内訳系列の推移

「飲食店、飲食サービス業」の伸び率に対する、内訳系列の影響度合い(寄与度)をみると、第1四半期の前期比10.5%に対し、最も影響が大きかったのは「パブレストラン、居酒屋」で、7.0%ポイントと上昇に寄与した。また、第2四半期では前期比マイナス3.0%に対しマイナス5.6%ポイントと低下に寄与した。コロナ禍より低調が続いてきた「パブレストラン、居酒屋」の動向が、2023年上期のFBIの動きに大きく影響したことがうかがえる。

飲食店、飲食サービス業(季節調節済)の伸び率に対する各系列の影響度合い

「食料品流通業」はほぼ横ばいで推移、食料品卸売業は第1四半期大幅に上昇

「飲食店、飲食サービス業」に続き2023年上期のFBI上昇及び低下に影響した「食料品流通業」の内訳の動きをみていく。

2022年の「飲食料品卸売業」は低下傾向で推移していたが、2023年第1四半期に大きく上昇し、指数値99.0となった。「飲食料品小売業」は第1四半期に低下したものの、第2四半期はわずかに上昇し、指数値97.1となった。

一方、「各種商品小売業(飲食関連)」は、第1四半期に上昇したものの、低い水準に留まっており、低調が続いている。

     食料品流通業(季節調節済)内訳系列の推移     

「食料品流通業」の伸び率に対する、内訳系列の影響度合い(寄与度)をみると、第1四半期の前期比0.0%に対し、「飲食料品小売業」がマイナス1.0%ポイント低下に寄与したものの、「飲食料品卸売業」が0.9%ポイント上昇に寄与したことで横ばいとなった。また、第2四半期は前期比0.1%に対し、「飲食料品小売業」が0.2%ポイント上昇に寄与した。

食料品流通業(季節調節済)の伸び率に対する各系列の影響度合い

2023年上期のFBIの動きは、「飲食店、飲食サービス業」の上昇・低下が大きく影響した。コロナ禍前の生活に戻りつつある中、外出機会が増加したことにより、「飲食店、飲食サービス業」に回復傾向がみられた。一方、「食料品流通業」は横ばい圏内で推移し、また「食料品工業」は低下傾向が続いている。

アフターコロナにおけるフード・ビジネスはどのように変化するのか。引き続き動向を注視し、また紹介していきたいと考えている。

この他にも、今回ご紹介しきれなかったフード・ビジネスの動きについて「飲食関連産業の動向(2023年上期)」スライド資料に掲載しているので、是非ご覧いただきたい。

飲食関連産業の動向(FBI 2023年上期);第1四半期上昇から第2四半期低下に転じたフード・ビジネス・インデックス
ミニ経済分析「飲食関連産業の動向(FBI 2023年上期)」のページ