統計は語る

4月の鉱工業生産は、全体として前月比マイナス0.4%と、3か月ぶりの低下。基調判断は、「生産は緩やかな持ち直しの動き」に据え置き

4月生産は3か月ぶりの前月比低下

2023年4月の鉱工業生産は、季節調整済指数95.5、前月比マイナス0.4%と、3か月ぶりの低下となった。

これまでの生産の動向については、2月から3月にかけて、部材供給不足の影響緩和や、国内・海外での受注増加などを受けて、自動車工業や生産用機械工業等が上昇したことなどから、全体として2か月連続で上昇していた。

こうした中、4月は、国内・海外からの受注減少などから、生産用機械工業等が低下したことを受けて、全体として3か月ぶりに低下した。

5業種が前月比低下、9業種が同上昇、1業種が同横ばい

4月の鉱工業生産を業種別にみると、全体15業種のうち、5業種が低下、9業種が上昇、1業種が横ばいという結果だった。

4月は、国内・海外からの受注減少などを受けて生産用機械工業等が低下したことなどから、全体として低下した。

低下寄与度の最も大きかった生産用機械工業は、半導体製造装置やフラットパネル・ディスプレイ製造装置等が主な低下要因となっている。半導体製造装置については、国内・海外からの受注減少などにより、フラットパネル・ディスプレイ製造装置については、海外からの受注減少などを受けて、低下したものと考えられる。

出荷は3か月ぶりの低下

4月の鉱工業出荷は、季節調整済指数93.0、前月比マイナス0.4%と、3か月ぶりの低下となった。

業種別にみると、全体15業種のうち、5業種が低下、9業種が上昇、1業種が横ばいとなった。

4月は、国内・海外からの受注減少などを受けて生産用機械工業等が低下したことなどから、全体として低下した。

低下寄与度の最も大きかった生産用機械工業は、半導体製造装置やフラットパネル・ディスプレイ製造装置等が主な低下要因となっている。これらについては、生産と同様の理由により、低下したものと考えられる。

財の需要先の用途別分類である財別出荷指数をみると、資本財(除.輸送機械)が前月比1.3%、耐久消費財が同1.6%、非耐久消費財が同0.2%と上昇する一方で、生産財が同マイナス0.5%、建設財が同マイナス0.1%と低下した。

在庫は3か月連続の上昇

4月の鉱工業在庫は、季節調整済指数104.0、前月比0.3%と、3か月連続の上昇となった。

業種別にみると、15業種のうち、9業種が上昇、6業種が低下となった。

上昇寄与度の最も大きかった自動車工業は、普通乗用車や小型乗用車等が主な上昇要因となっている。

在庫率は2か月ぶりの低下

4月の鉱工業在庫率は、季節調整済指数126.9、前月比マイナス0.5%と、2か月ぶりの低下となった。

業種別にみると、15業種のうち、9業種が低下、6業種が上昇となった。

在庫循環図をみると、2021年第3四半期までは、「在庫積み増し局面」にあったが、第4四半期には、「在庫積み上がり局面」に達しており、2023年第2四半期(速)まで継続している。これまでの部材供給不足などによる生産減少の影響等が含まれているが、概ね「在庫積み上がり局面」に位置しているものと考えられる。

4月の生産の基調判断は、「緩やかな持ち直しの動き」に据え置き

4月の鉱工業生産は、前月比0.4%の低下となった。

これまでの生産は、2月と3月は、部材供給不足の影響が緩和されたことなどを受けて、自動車工業を中心に上昇していた。

こうした中、4月は、引き続き部材供給不足の影響が緩和されたことなどから、多くの業種が上昇したものの、国内・海外からの受注減少などを受けて、生産用機械工業等が低下したことから、全体として低下した。

また、先行きに関しては、企業の生産計画では、5月と6月はともに上昇を見込んでおり、ならしてみると緩やかな持ち直しの動きであると考えられる。

こうした状況を踏まえ、鉱工業生産の4月の基調判断については、「生産は緩やかな持ち直しの動き」に据え置かれた。

なお、今後は、部材供給不足の影響、物価上昇の影響などについて、注視していく。

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参考図表集
マンガ「ビジネス環境分析にも使える!鉱工業指数(IIP)」