統計は語る

10月の鉱工業生産は「生産は緩やかに持ち直しているものの、一部に弱さがみられる」に引き下げ

10月生産は2か月連続の前月比低下

2022年10月の鉱工業生産は、季節調整済指数95.9、前月比マイナス2.6%と、2か月連続の低下となった。

これまでの生産の動向については、2022年4月と5月は、中国でのロックダウン等の影響を受けて低下したが、6月に、中国でのロックダウン等の解除などを受けて上昇に転じ、7月と8月は、部材供給不足の影響が緩和したことなどから、上昇していた。

こうした中、9月は、これまでの上昇の反動などから低下し、10月は、これまでの上昇の反動に加えて、海外需要の減少等を受けて、生産用機械工業や電子部品・デバイス工業などが低下したことから、2か月連続で低下した。

8業種が前月比低下、7業種が前月比上昇

10月の鉱工業生産を業種別にみると、全体15業種のうち、8業種が前月比低下、7業種が前月比上昇という結果だった。

10月は、これまでの上昇の反動に加えて、海外需要の減少等を受けて、生産用機械工業や電子部品・デバイス工業などが低下したことから、全体として低下した。

低下寄与度の最も大きかった生産用機械工業は、半導体製造装置やフラットパネル・ディスプレイ製造装置等が主な低下要因となっている。半導体製造装置については、前月までの上昇の反動などを受けて、フラットパネル・ディスプレイ製造装置については、海外需要の減少等を受けて、低下したものと考えられる。

次に低下寄与度の大きかった電子部品・デバイス工業は、モス型半導体集積回路(メモリ)や固定コンデンサ等が主な低下要因となっている。これらについては、海外需要の減少等を受けて、低下したものと考えられる。

出荷は2か月連続の低下

10月の鉱工業出荷は、季節調整済指数94.1、前月比マイナス1.1%と、2か月連続の低下となった。

業種別にみると、全体15業種のうち、7業種が低下、8業種が上昇となった。

10月は、生産用機械工業や自動車工業などが低下したことから、全体として低下した。

低下寄与度の最も大きかった生産用機械工業は、半導体製造装置やフラットパネル・ディスプレイ製造装置等が主な低下要因となっている。これらについては、生産と同様の理由により、低下したものと考えられる。

次に低下寄与度の大きかった自動車工業は、普通乗用車や自動車用エンジン等が主な低下要因となっている。これらについては、部材供給不足の影響などを受けて、低下したものと考えられる。

財の需要先の用途別分類である財別出荷指数をみると、生産財が前月比0.3%の上昇、非耐久消費財が同0.5%の上昇、建設財が同0.2%の上昇となる一方で、資本財(除.輸送機械)が同4.0%の低下、耐久消費財が同2.3%の低下となった。

在庫は5か月ぶりの低下

10月の鉱工業在庫は、季節調整済指数103.0、前月比マイナス0.8%と、5か月ぶりの低下となった。

業種別にみると、15業種のうち、6業種が低下、9業種が上昇となった。

低下寄与度の最も大きかった自動車工業は、普通乗用車や普通トラック等が主な低下要因となっている。これらについては、部材供給不足の影響などを受けて、生産の低下幅が出荷の低下幅よりも相対的に大きかったことなどから、低下したものと考えられる。

在庫率は2か月ぶりの低下

10月の鉱工業在庫率は、季節調整済指数118.3、前月比マイナス5.1%と、2か月ぶりの低下となった。

業種別にみると、15業種のうち、8業種が低下、7業種が上昇となった。

在庫循環図をみると、2021年第3四半期までは、「在庫積み増し局面」にあり、第4四半期には、「在庫積み上がり局面」に達し、2022年第3四半期まで継続していたが、第4四半期(速)では、「在庫積み増し局面」に逆戻りしている。これまでの部材供給不足などによる生産減少の影響等が含まれているため、概ね「在庫積み上がり局面」に位置しているものと考えられるが、今後も注視していく必要がある。

10月の生産の基調判断は、「緩やかに持ち直しているものの、一部に弱さがみられる」に引き下げ

10月の鉱工業生産は、前月比2.6%の低下となった。

生産は、2022年4月と5月は、中国でのロックダウン等の影響を受けて低下していたが、6月に、中国でのロックダウン等の解除などを受けて上昇に転じ、7月と8月は部材供給不足の影響が緩和したことなどから、上昇していた。

こうした中、9月は、これまでの上昇の反動などから低下し、10月は、これまでの上昇の反動に加えて、海外需要の減少等を受けて、2か月連続で低下した。

また、先行きに関しては、企業の生産計画では、11月と12月はともに上昇となっているが、11月の補正値は前月比0.8%の低下を見込んでいることに加えて、電子部品・デバイス工業では、11月と12月はともに低下を見込んでいる。

このため、ならしてみると緩やかに持ち直しているものの、電子部品・デバイス工業など一部に弱さがみられる状況となっている。

こうした状況を踏まえ、鉱工業生産の10月の基調判断については、「緩やかに持ち直しているものの、一部に弱さがみられる」に引き下げる。

なお、今後は、引き続き、変異タイプの新型コロナウイルス感染症の拡大による内外経済への影響や、部材供給不足の影響、物価上昇の影響などについて、注視していく。

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参考図表集
マンガ「ビジネス環境分析にも使える!鉱工業指数(IIP)」