60秒早わかり解説

ビジネスとAI/ITの橋渡しを

(AI人材育成プログラム修了生インタビューから)

 ビジネスに関する様々なデータの入手や膨大なデータの解析が可能となる中、AI/ITによる新しい事業やサービスの創出を目指す企業が、大企業・中小企業を問わず増えています。AI/IT人材の不足はますます深刻化していくと予測されていますが、DX化を進める企業はどのような人材を育成・確保し、どのようにAI/ITを活用した事業開発・サービスの開発を行っていけば良いのでしょうか。

課題解決をAIで具現化する

「ビジネスとAIの双方に通じる実践的な人材の育成が重要」と話すインフィックの増田代表取締役


 「AI/ITを活用したサービス開発の現場で不足しているのは、ビジネスとシステムを繋ぐパイプにあたる人材だ」経済産業省のAI人材育成プログラム「AI Quest」に参加したインフィックの増田代表取締役と花島執行役員管理本部長はそう語ります。

 経済産業省が提供する「AI Quest」は、実際の企業の課題をモチーフにした課題解決型AI人材育成プログラム。ビジネスにAIを実装する業務プロセス設計から、モデル企業幹部への導入提案シミュレーションまで、リアリティにこだわったカリキュラムを組んでいるのが特徴です。令和元年度に人材との協業に参加したインフィック(東京都千代田区)は、介護に関する総合支援サービスを手掛ける中小企業。人材不足が顕在化する介護業界において、生産性の向上や、介護予防を含む高齢者の生活の充実が重要と考え、IoTやAIを活用した取り組みを行ってきた同社は、「センサーを用いた高齢者見守りサービスの付加価値を高めていくために、データサイエンスの可能性に注目していた」といいます。

外の視点から見ることのできる人材との協業

 AI Questに参加したのは、情報工学を学ぶ学生やシステムインテグレーターの経験を持つ情報関連企業のコンサルタントなど、幅広いバックグラウンドを持つAI/IT人材。介護業界を外の視点から見るからこそ生まれた新たな視点や発想が、経営者としての想いを共有する中で、実践的な提案にブラッシュアップされていきました。「AIの導入やサービス検討にあたっては、どうやってAIを活用するのか?という観点で検討が進みがちですが、社会課題やビジネスに対する想いを、協業する方々に伝えながら検討を深めていくことの重要性を感じました」(増田代表取締役)。プログラムの中で提案があった介護関連データを活用した高齢者向けのサービスについては、実際に実現に向けて検討しているといいます。

 また、インフィックとしても、協業の経験を通じてAIに関する理解を深めたそうです。「AIについても総論は理解していたものの、具体的なアプローチのパターンについて理解や知見が一段深まりました。」

花島執行役員管理本部長


 人材育成は一日にしてならず。事業会社とAI/IT人材が協業の中で互いに歩み寄り、ビジネスとAI/ITのパイプを担う実践を積んでいくことが、企業のデジタルトランスフォーメーションに求められているのかもしれません。
 

経済産業省 情報技術利用促進課

 

【関連情報】

AI Questウェブページ

AI Quest参加者インタビュー