60秒早わかり解説
ベンチャーこそ戦略的な知財活用を「常識」に
特許庁の事例集活用を
「知的財産はベンチャー企業の生死を分ける」(在米VC)―。ベンチャーエコシステムが確立されている米国では、知財戦略の重要性は常識だ。破壊的なイノベーションにより産業の新陳代謝を促し、次世代の経済成長を支える存在としてベンチャーへの期待が高まる中、わが国でも知財戦略を「常識」にすることが必要だ。
ベンチャーの企業価値≒知的財産
第四次産業革命の時代を迎え、新たなビジネスモデルの創出や革新的な技術開発、さらには少子高齢化や労働力不足などの社会課題の解決に向け、迅速で大胆な挑戦を行うベンチャーへの期待は高い。加えてベンチャーの企業価値は、革新的な技術・アイデアと、これを生み出す人材に基づくものであり、知財そのものであるといえよう。
にもかかわらず知財戦略の意識は低い
コアとなる技術・アイデアを事業として成長させるためには、事業戦略の中において、権利化・ノウハウ化による模倣の防止だけでなく、資金調達での事業性の裏付けや、オープンイノベーションでのライセンスや協業成果を生かすツールとしての活用など、手遅れになる前に知財戦略に意識して取り組むことが必要である。しかし、日本では、創業時点で知財戦略を意識していたベンチャーはわずか2割にとどまっている。
先進の事例や共創のコツを武器に
2018年4月、特許庁は、国内外のベンチャーが直面した課題と対応策・知財体制などの知財戦略の事例、オープンイノベーションを促進する知財の取扱いのコツ、M&Aの際の知財デュー・デリジェンスの要点をとりまとめ、発信した。これらを通じて知財戦略が「常識」となれば、日本のベンチャーエコシステムの確立に一歩近づくだろう。
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