60秒早わかり解説
海外取引の隠れたリスク:外国公務員贈賄罪
海外との取引は大企業だけでなく、中小企業でも増えている。その取引のやりとりの中で、海外において、海外の子会社や現地エージェントが不正の利益を得ようと賄賂(わいろ)等を渡したりすると、日本の本社が知らなくても「外国公務員贈賄罪」に問われる。
国際的な禁止事項となっています
企業活動のグローバル化・ボーダーレス化の進展に伴い、国際商取引は拡大の一途。そんな中、平成9年にOECDにおいて、外国の公務員への賄賂についての国際ルールができた。外国の公務員に、金銭などを渡したり、渡すことを約束したりすると、犯罪になるのだ。
最大3億円の罰金刑も
日本の不正競争防止法にも定められ、外国の公務員に賄賂を渡した場合には、日本で処罰される。個人では5年以下の懲役、500万円以下の罰金。法人では、3億円以下の罰金と、莫大なリスクとなる。さらに、進出国での取引停止や、相手国の法律でもあわせて処罰されるおそれもある。
「公務員」の範囲にも注意
賄賂の相手方は、外国政府の職員や議員だけには限らない。処罰対象として規定されている「外国公務員等」の範囲には、検査機関の職員なども含まれる。また、日本企業が賄賂を直接渡さなくても、現地エージェントを介して利益供与すると、これも違法となる。
まずは、これを見ておくこと
既に海外と取引をしている場合や、今後取引をする可能性がある場合には、「外国公務員贈賄防止指針」を読んで、自主的に予防しておくことが大事だ。また、実際に外国の公務員から金銭を要求された際に提示する拒絶カードがついたパンフレット(PDF形式:361KB)も作成しているので、活用してほしい。
【関連情報】
外国公務員贈賄防止に関するパンフレット「海外進出する企業必見 外国公務員贈賄罪を知っていますか?」(PDF形式:361KB)