60秒早わかり解説
シリコンバレーのリソースを活用し、新たなチャレンジを
大企業の新規事業の開発手法は、社内ベンチャーの活用、スタートアップとの連携、海外拠点の開設など多様だ。現在、大手製造業を中心にシリコンバレーへの進出が活発化し、その数は過去最大に上る。一方、前回のITバブルの際に成果が出ないと短期間で撤退した経験を繰り返したくないという企業の声も聞かれる。こうした中、「シリコンバレーD-Lab×経済産業省セミナー」を開催した。
経営者の長期的コミットメント
セミナーでは、既存事業の取組がいわば「明確な目的地への最適ルートをミスなくたどること」であるのに対し、新規事業開発は、挑戦しなければ機会はない、失敗ありきの世界であり、経営者の長期的なコミットメントが必須と強調された。
価値創出の競争軸は変わっている
Google、Apple、Amazon、Uber…シリコンバレーから広がるイノベーションの波は、GE、GM、Fordといった米国の伝統的な製造業にも波及している。価値創出の競争軸は変わり、製造業と非製造業の境界が一層曖昧になっているという現場の臨場感も伝えられた。一方、日本では、デジタル化=システム導入と誤解する企業がいまだ多いとの指摘もあった。
早まるイノベーションサイクル
セミナーでは、ドイツ最大のソフトウェア企業SAPが、デザイン思考を活用して組織改革を実現したケースが注目を集めた。また、ヤマハ発動機、本田技研工業、損保ジャパンの取組も紹介され、事例から学ぶことは一つのきっかけになる。企業の平均寿命は短縮化し、今やGoogleも大企業病の克服が課題と言われる。指数関数的な速度で進むイノベーションに合わせたスピード感も重要だ。