五感で学ぶ夏休み!経済産業省子どもデー
8月2日~3日、霞が関に子供があふれた。二日間で行われた「こども霞が関見学デー」は、子どもたちが夏休みに広く社会を知るとともに、府省庁等の施策に対する理解を深めてもらうことが狙いだ。省庁ごとに特色ある展示で子供たちの好奇心を刺激した。経済産業省では「経済産業省子どもデー」としてさまざまなプログラムを開催した。
日本の先端技術に触れる!
今年は、初の試みとして総務省、経産省、文科省の三省が連携してAIスタンプラリーを開催した。「専門家や企業の人だけではなく、もっと一般に向けて、AI技術の認知を広めたい」(経産省関係者)との狙いがある。
経産省は、明治大学理工学部の黒田洋司教授らが開発した「セキュリティロボットSQ-1」を実際に操作し、AIが同ロボットを操作した時との違いを体験できるプログラムを実施した。SQ-1は自律移動のセキュリティロボット。人間や固定カメラなどでは難しい夜間や暗部、死角となる部位のセンシングを可能とする。
ロボットを動かすのが楽しくて仕方がないというような子どももいれば、不思議そうな目でセキュリティレーダーのモニターに見入っている子どももいた。ブースの説明員として参加した明治大学の学生は「セキュリティロボットは子どもにはとっつきにくいかなと思っていましたが杞憂でした。子どもたちは積極的に純粋な好奇心をぶつけてきます」と話す。
他にも、みんなでヴァーチャル空間に水族館をつくるVRコンテンツ「みんなの水族館」が大いに賑わっていた。遊び終わった子どもたちは「初めてVRを体験した。楽しかった!」と笑顔を見せた。
日本を支える産業
経産省のこども見学デーは、ロボットやVRなど最先端技術の展示だけでは終わらない。普段お風呂に入る時、料理を作る時に必要となるエネルギー、資源が、どうやって供給されているのかをジオラマやすごろくを用い、遊びを交えて伝えた。
めっき体験のコーナーでは、アルマイト処理の技術を使って、アルミニウムの鉄板に着色。完成した作品は同社のホームページ上で公開される。子どもたちはじっくりと鉄板に向き合い、製作に夢中になっていた。
子どものフラットな目線
「福島の今を知ろう!」というブースでは、放射線を目で見ることができるボックスや、身近なものに含まれている放射線の量を測る体験プログラムが実施された。「ランタンのマントルなど、東京で暮らしていても放射線は身近にある。原発事故の印象が強くなりすぎて放射線への認識にずれがある。子どもたちが福島に対して偏見を持たないように事実を伝えていきたい」と責任者は話す。子どもの目線を通して、保護者にとっても新たな気づきを得る機会になったのではないだろうか。
インターネットで簡単に多くの情報にアクセスできる時代だからこそ、目で見て、触って、情報を正しく判断できる人材に育ってもらいたい。霞が関に遊びに来た子供たちは、将来どのような日本を描くのだろうか。まずは彼らの「夏休みの自由研究」に期待だ。もしかすると、こども見学デーでの経験が活きるかもしれない。