統計は語る

建設業活動指数 今年上期の勢い鈍る

4か月連続の前月比マイナス


 2019年9月の建設業活動は、前月比マイナス2.2%と4か月連続の低下、指数値は109.1となった。
 前月比4か月連続低下は、2017年6~10月にかけての5か月連続低下以来のこととなる。指数値は110台を割り込み、今年で最も低い水準にまで降下した。今年に入ってから5月までの5か月間で6.3ポイントという強い勢いで指数値は上昇していたが、以降の4か月間で5.3ポイント下降となり、そのテンポとしては強い上昇時とほぼ同等の勢いで下落していることとなる。なお、前年同月比でもマイナス1.5%の低下と、5か月ぶりに前年水準を下回った。
 2019年第3四半期の建設業活動は、前期比マイナス2.3%と3期ぶりの低下で、指数値は111.0となった。

 最近の傾向値(後方3か月移動平均値)の推移をみると、今年1月の大幅上昇により上昇方向へ転じ6月まではこの流れが継続していた。7月時点ではこの勢いは横ばい気味と停滞、以降、8月、9月と連続して低下方向に向かっていることがうかがえる。これまでの上昇基調の動きから一転、すう勢には弱さがみられることが確認できる。

順調だった公共工事にも陰り

 9月の建設業活動は、民間発注工事が前月比マイナス2.5%と4か月連続低下、公共工事が前月比マイナス2.0%と3か月連続低下と、ともに続落となった。
民間発注工事の動きには引き続き弱さがみられるとともに、今年に入ってから順調な動きをみせていた公共工事にも陰りがみられる。
 前月比の低下インパクトでみれば、民間発注工事が概ね7割、公共工事が3割ほどの寄与率となっており、このところの民間発注工事の個人投資、企業投資とも失速感は継続しており、動きの弱さに対する懸念はより一層深まった。
 なお、2019年第3四半期でみれば、民間発注工事が前期比マイナス3.7%、公共工事が前期比マイナス0.7%と、いずれも3期ぶりの低下だった。前期比の低下インパクトでは、民間発注工事が概ね9割ほどの寄与率と、全体の低下に強く影響したことになる。
 内訳5事業でみれば、9月はすべての工事が前月比低下となり、広い範囲で弱い動きとなった。

 各内訳5事業の動きを細かくみていく。
 民間発注工事では、住宅建築は前月比マイナス3.8%と2か月連続の低下だった。今年度に入ってから9月までの6か月では、7月の微増を除き5回の低下と低落傾向にあり、今月もその基調に変化はみられず、むしろ低落の度合いは大きなものとなった。指数値は100台を割り込み、これは2016年1月以来のことであり、活動水準は大幅に低下している。
 非住宅(工場や倉庫など)建築は前月比マイナス0.6%と5か月連続の低下だった。1月から4月までは4か月連続で1%を超える前月比上昇で、この間9.2ポイントも指数値が急上昇したが、5月以降は一転して連続低下、この9月までの5か月間でマイナス8.5ポイント指数値が降下した。活動自体は、昨年年央から複数月に及ぶ一律的な上昇、低下を繰り返すなど、中期的に不安定な動きをみせている。
 民間土木工事は前月比マイナス2.8%と2か月ぶりに低下、指数値は100を割り込んだ。今年7月、9月と大幅に活動量は減衰しており、結果、好調だった第2四半期値に比べ、第3四半期は前期比マイナス6.8%と大きく低下している。
 公共工事では、建築工事(庁舎、学校、病院など)は前月比マイナス0.9%と2か月ぶりの低下、土木工事は前月比マイナス2.5%と3か月連続の低下だった。今年前半の各月の動きは、建築工事、土木工事とも大きめの前月比上昇をみせることが多く、復調の動きがみられていたが、9月を含めたここ3か月は、双方とも動きは弱いものとなっている。ただ、第3四半期でみれば、公共建築は前期比プラス、土木工事も前期比はマイナスとはなったものの、活動水準は高い位置を維持している。
 全体としてみると、公共工事には月単位の動きは上下動が激しく不安定さがあることもあり、来月以降の動きに注目したい。

基調判断「弱さがみられる」

 2019年9月の建設業活動は、4か月連続の前月比低下となり、今年前半の強い上昇傾向時の貯金は大きく取り崩されている。
 内訳事業では、5事業すべてが低下となり、弱い動きは全事業に及んでいる。民間住宅建築工事の動きの弱さは継続しており、この9月でも改善には至っておらず、むしろ弱さは拡大している。今年上期は堅調な動きにあった民間企業の設備投資関連工事もここ数か月の動きは低調なものとなっている。他方、もともと月々の動きに不安定さがある公共工事にも、今年上期にみせた上昇の勢いは衰え、やや弱さもうかがえる。
 これらの状況を踏まえ、9月時点の建設業活動全体の基調は「このところ弱さがみられる」としている。

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