統計は語る

好調なサービス産業 そのインパクトが突出

高水準を記録 2019年9月の全産業活動指数

前月比1・5%のプラスに

 2019年9月の全産業活動指数は、前月比1.5%と大きな上昇となった。8月の横ばいを含め3か月連続でマイナスなしという状況である。指数値は107.8と、今基準内(2008年1月~)では2008年2月から5月に至るまでの4か月間しか達していなかった107台超の水準を一気に突破し、今基準内2位となる活動水準にまで到達した。今基準の最高値は、景気の第14循環にあたる、一般に言う「いざなみ景気」の山に近い2008年3月の108.7で、これに比べれば活動水準にはまだレベル差があるが、それでも今年9月の活動量は極めて高い水準にあるといえるだろう。
 ただ、ここ数年は、単月の動きのなかで、前月比がプラス1%以上の大きめの上昇を示した翌月には、前月比が少なからず低下する傾向があることから、10月以降の動きは注視していきたい。 2019年第3四半期は、指数値106.7、前期比0.3%と2期連続の上昇と順調な動きとなった。

 傾向値(後方3か月移動平均値)の推移をみると、2019年4月からの上昇傾向から、7月には低下方向に転じていたが、9月の活発な活動により再び上昇方向に向いていることがみてとれる。

小売業や卸売業などの好調を背景に

 9月の結果を産業別にみると、サービス産業活動は前月比1.8%と3か月連続の上昇、鉱工業生産は前月比1.7%と2か月ぶりの上昇だったが、建設業活動は前月比マイナス2.2%と4か月連続の低下だった。
 9月の全産業活動全体の前月比プラス1.5%のうち、緩やかながらも上昇基調にあるサービス産業活動がプラス1.3%ポイントの寄与と、大きなインパクトをみせた。このサービス産業活動の強いインパクトは、先に公表された「第3次産業活動指数」をみると、小売業や卸売業といった財の仲介取引関連を中心に、幅広い分野の業種が順調な動きをみせたことによるものと解釈できる。

基調判断「持ち直しの動きがみられる」

 2019年9月は、内訳3活動のうちサービス産業活動と鉱工業生産が前月比上昇、建設業活動が前月比低下だった。
 前月比上昇となったサービス産業活動では、対個人向けサービス、対事業者向けサービスとも前月比上昇、かつ、広い分野で順調な動きがみられた。
 他方、鉱工業生産は9月単月としては大きめの前月比上昇をみせたが、依然としてすう勢には弱さが感じられる。また、建設業活動も民間発注工事の動きには弱さが、公共工事には伸び悩みがみられるなど、懸念材料は散在している。
 各指数の基調判断は、鉱工業生産は「このところ弱含み」、サービス産業活動は「持ち直しの動きがみられる」と、判断を据え置いている。建設業活動では、このところの動きには弱さがみられる。
 全産業活動全体では、①9月単月としては、前月比大幅上昇で指数値は極めて高い水準域に到達、②第3四半期では、前期比2期連続のプラス、③3か月移動平均で測る「すう勢」では、ここ2か月の低下方向の動きから上昇方向へと変化している、など好材料が多くみられる。他方、ここ数年の過去の経験値からは、前月比大幅上昇の翌月はその反落がみられることが多いことが確認されている。特に、このところのすう勢とは若干異なる動きをみせた当月の単体の方向性や上昇度には、一定度の不確実性を含んでいることが想定されることから、来月10月以降の動きを慎重に見極める必要がだろう。
 このように9月の動きには不確実性を含みつつも、第3四半期が2期連続のプラスとなったことなどを評価し、2019年9月時点の全産業活動の基調は、「持ち直しの動きがみられる」としている。

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