統計は語る

6月の鉱工業出荷 3か月ぶりの低下

外需の低下傾向に加え内需も反落


 本年6月の鉱工業出荷(速報)は、季節調整済指数で100.6、前月比マイナス3.3%と、3か月ぶりの低下となった。内需(国内向け出荷)は前月比マイナス3.7%と3か月ぶりの低下、外需(輸出向け出荷)は前月比マイナス1.4%と4か月連続の低下だった。
 6月は輸出向け出荷が4か月連続の前月比低下となったことに加え、国内向け出荷の低下寄与が大きく、鉱工業出荷全体は大幅に低下することになった。
 出荷水準をみると、6月の国内向け出荷指数については100.4となり、2019年3月以来の水準まで低下した。
 一方、輸出向け出荷は、本年1月以降の動きをみると、国内向け出荷とやや異なる動きをしている。輸出向け出荷指数は1月に98.1まで大きく低下したものの、2月はその急落分を上回る上昇をみせた。しかし3月以降、4か月連続で低下を続けている。
 外需が3月以降、低下傾向で推移していることに加え、4月、5月と回復をみせていた内需が反落したことで、6月の鉱工業出荷は大幅な低下となった。

 本年4-6月期の鉱工業出荷(速報)は、前期比1.2%と、2四半期ぶりに前期比上昇となった。このうち、国内向け出荷は前期比2.2%と2四半期ぶりの前期比上昇だったが、輸出向け出荷は前期比マイナス0.5%と、2四半期連続の前期比低下となった。このところの輸出の弱さが反映された様子である。

業種別の動き

 6月の国内向け出荷の業種別動向をみると、12業種中9業種が前月比低下だった。特に低下寄与が大きかったのは輸送機械工業で、それに次ぐ低下寄与をみせたのは電気・情報通信機械工業だった。

 6月の輸出向け出荷の業種別動向をみると、12業種中5業種が前月比低下となった。特に低下寄与が大きかったのは輸送機械工業だった。それに次いで、電気・情報通信機械工業の低下寄与が大きくなっていた。

需要先用途別の動き

 6月の需要先別用途別分類(財別分類)の国内向け/輸出向け出荷の動きを比較してみる。
 まず、製造業の中間投入となる鉱工業用生産財については、国内向け出荷が前月比マイナス3.3%と2か月ぶりの低下だった。輸出向け出荷は前月比マイナス0.2%と2か月連続の低下だった。6月は、鉱工業生産が大幅に低下したこともあり、鉱工業用生産財の国内向け出荷も大幅に低下したようである。

 設備投資向けとなる資本財(除.輸送機械)については、国内向け出荷は前月比マイナス8.6%と3か月ぶりの大きな低下となった。一方、輸出向け出荷は、前月比3.3%と4か月ぶりの上昇となった。輸出向け出荷については、資本財全体では低下したものの輸送機械の低下の影響が大きく、一方で生産用機械工業が上昇したため、輸送機械を除く資本財では前月比上昇となったようだ。
 消費向けの財では、耐久消費財の国内向け出荷は前月比マイナス10.2%と3か月ぶりで大幅な低下となった一方、輸出向け出荷も前月比マイナス6.8%と2か月ぶりの低下となった。
 非耐久消費財については、国内向け出荷は前月比0.1%と2か月ぶりに小幅な上昇となった一方、輸出向け出荷は前月比8.1%と2か月ぶりの大幅な上昇となった。輸出向け出荷の大幅な上昇については、パルプ・紙・紙加工品工業や化学工業(除.医薬品)の上昇が寄与したようだ。

輸出仕向け先別の動向

 6月の主要仕向け先別の輸出向け出荷の動きをみると、ASEAN向け、欧州向けが前月比で上昇したが、米国向け、中国向け等が前月比で低下し、輸出向け出荷は4か月連続の低下となった。