統計は語る

情報通信などインフラ型サービスの好調際立つ

5月のサービス産業活動指数


 2019年5月のサービス産業(第3次産業)活動指数は、指数値106.8、前月比マイナス0.2%と2か月ぶりの低下となった。
 本年4月は3か月ぶりの上昇をみせたが、5月は小幅な低下となった。とはいえ、水準としては、2010年基準(2008年1月~)では、本年1月、4月に次ぐ第3位となっており、過去最高水準に近い値を維持している。

11業種中、6業種が前月比低下

 5月の業種別の動きをみると、全11業種のうち、6業種が前月比低下、4業種が前月比上昇、1業種が前月比横ばいだった。
 低下寄与が大きかった業種は、卸売業、生活娯楽関連サービス、小売業が挙げられる。これらの業種はいずれも、2か月ぶりの低下となり、4月の上昇の反動も現れた形となった。
一方、上昇寄与が大きかった業種は、情報通信業、「金融業, 保険業」、「運輸業, 郵便業」だった。5月はいわゆるインフラ型サービス活動の多くで上昇がみられた。

「対個人」「対事業所」向けの動向は

 サービス産業活動指数は、大きく「広義対個人サービス」と「広義対事業所サービス」に分けることができる。
 5月の対個人サービス活動指数は、指数値107.2、前月比マイナス0.3%と2か月ぶりの低下だった。対事業所サービス活動指数は、指数値107.1、前月比0.0%と横ばいとなった。
 このところ、対個人サービスはならしてみれば横ばい気味に推移しているが、対事業所サービスは上昇傾向で推移している。

「製造業依存型事業所向け」が上昇

 対事業所サービスは、製造業の取引先が多いか、そうでないかによって、製造業依存型と非製造業依存型に分けることができ、それぞれの指数も計算している。
 5月は、非製造業依存型事業所向けサービスは前月比マイナス0.1%と3か月ぶりの低下となったが、製造業依存型事業所向けサービスは前月比2.6%と2か月ぶりの上昇だった。
 それぞれの指数のこれまでの推移をみると、非製造業依存型事業所向けサービスは緩やかながら上昇傾向を続けてきた一方、製造業依存型事業所向けサービスは伸び悩んでいた。5月は製造業依存型事業所向けサービスは大幅な上昇をみせたが、原指数でみれば前年同月比マイナス1.6%と、前年と比べ低い水準にとどまっており、この上昇が今後も続くかについては、まだ慎重にみておいた方がよさそうだ。

「し好的個人向け」も上昇

 対個人サービスは、生活必需的な性質で変動が相対的に少ないと考えられる非選択的サービスと、選択性が高く所得環境や経済情勢等の影響を受けやすいと考えられるし好的サービスに分けられ、それぞれの指数も計算している。
 それぞれの動向についてみてみると、5月は非選択的個人向けサービスは前月比マイナス0.3%と2か月ぶりの低下、し好的個人向けサービスは前月比0.1%と2か月連続の上昇だった。

基調判断据え置き

 5月のサービス産業活動指数は前月比マイナス0.2%と、2か月ぶりの前月比低下だった。上昇業種の寄与より低下業種の寄与の方がやや大きく、総合では小幅な低下となった。ただ、指数水準としては106.8と、今基準内では本年1月、4月に次ぐ高い水準を維持している。
4月、5月をならしてみると106.9と、本年第1四半期の指数値106.7を上回っており、四半期ベースでは、第2四半期は今基準内最高水準であった第1四半期と同水準か、それを上回る可能性もある。
 ただ、指数の動向を業種別にみると、卸売業、小売業といった、いわばモノの動きに関わる業種では、他と比べまだ弱さも感じられるところだ。
 こうした動きを踏まえ、5月のサービス産業(第3次産業)活動指数の基調判断については、「持ち直しの動きにあるが、一部に弱さがみられる」に据え置かれている。

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参考図表集

『就職にも使える! 第3次産業活動指数』(マンガ)