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地図で考えよう、核のごみの最終処分


 以前、放射性廃棄物の処分は現世代の責任で考えるべきことをお伝えした。今般、経済産業省は、高レベル放射性廃棄物、いわゆる“核のごみ”の最終処分に関する「科学的特性マップ」を公表した。これは、様々な科学的特性を全国一律の基準で整理し、全国各地をオレンジやグリーンなどの色で塗り分けた地図だ。

「オレンジ」と「シルバー」

 原子力発電に伴う高レベル放射性廃棄物を安全に処分するには、長期間安定していて地層処分に適した地下環境を探し出す必要がある。今回のマップでは、火山や活断層の近くなど、長期の安定性の観点から好ましくないであろう地域がオレンジで示されている。また、地下に炭田や油田などが存在し、遠い将来、廃棄物に気づかずに人が掘削してしまう可能性が否定できない地域はシルバーで示している。

「グリーン」

 これら以外の地域はグリーンで示されている。現地調査を綿密に行った場合に、安全な処分ができると確認できる可能性が相対的に高い地域だ。この中でも、海岸線から近い沿岸部は、輸送面でも好ましく、濃いグリーンで示されている。これは、廃棄物の長距離輸送が船で行われることを前提としたものだ。

候補地が決まるのはまだ先

 今回のマップによって、すぐに候補地が絞り込まれて、処分場の建設計画が具体的に進んでいくというものではない。国民理解、地域理解をしっかり得ていくことが何より重要だ。このマップをきっかけに、日本の地下環境についての科学的・客観的な情報を広く共有しつつ、より多くの地域に関心を持っていただけるよう、全国で議論を深めていくことが次のステップだ。

【関連情報】

「科学的特性マップ」特設ページ