統計は語る

2019年1月は3カ月連続で前月比低下の鉱工業生産

自動車、電気・情報通信機械の落ち込み大きく

 
 2019年1月の鉱工業生産(速報値)は、季節調整済指数100.8、前月比マイナス3.7%低下と、3か月連続の前月比低下となった。昨年第4四半期の指数値が105.1で、そこからすると、1月の指数値は大分低くなっており、昨年の最低値である1月と同レベルの低い水準だ。2019年第1四半期(1-3月期)の鉱工業生産は、大分低い水準からのスタートとなる。

12業種が前月比マイナス

 1月の鉱工業生産を業種別にみると、12業種が前月比低下、3業種が前月比上昇となった。前月は6業種で前月比低下したが、1月はより幅広い業種で低下が見られた。
 生産の低下寄与の大きかった業種としては、自動車工業、電気・情報通信機械工業、そして生産用機械工業が挙げられる。他方、上昇寄与業種としては、輸送機械工業(除.自動車工業)、無機・有機化学工業、石油・石炭製品工業が挙げられる。
 自動車工業では普通乗用車、自動車用エンジン等の低下寄与が大きい。電気・情報通信機械工業ではリチウムイオン蓄電池、放送装置等で低下寄与が大きく、生産用機械工業ではショベル系掘削機械、産業用ロボット等が低下した。

出荷も低迷

 1月の鉱工業出荷(速報値)は、季節調整済指数99.2、前月比マイナス4.0%と2か月ぶりの前月比低下となった。その指数レベルは、2016年6月以来の低水準となっている
 業種的には、自動車工業、輸送機械工業(除.自動車工業)、生産用機械工業といった業種が低下した。他方、上昇した業種としては、石油・石炭製品工業、化学工業(除.無機・有機化学工業・医薬品)があった。
 自動車工業においては、生産と同様、普通乗用車、自動車用エンジン等が低下した。輸送機械工業(除.自動車工業)では、鋼船等が低下。生産用機械工業は、生産と同様、ショベル系掘削機械、産業用ロボット等が低下した。

 財の需要先の用途別分類である財別出荷指数をみると、生産財の出荷は前月比マイナス2.5%低下、最終需要財の出荷は前月比マイナス5.2%低下だった。
 生産財については、鉱工業生産の低下もあり鉱工業用生産財は前月比マイナス2.8%と低下した。その他用生産財は前月比マイナス0.4%の低下にとどまった。
 最終需要財については、非耐久消費財の出荷は上昇したものの、資本財(除.輸送機械)や、耐久消費財、建設財で出荷が低下し、全体では出荷は前月比マイナス5.2%と低下した。

在庫積み上がらず

 1月の鉱工業在庫(速報値)は、季節調整済指数101.6、前月比マイナス1.5%と3か月ぶりの前月比低下となった。出荷は低下したものの生産も低下する中で、在庫は積み上がる姿にはならなかった。

基調判断引き下げ

 本年1月の鉱工業生産は、3か月連続の前月比マイナスだった。1月初旬の企業の生産計画の集計結果からは、上方バイアスを補正すると前月比マイナス2.3%の低下が想定されていたが、実際には幅広い業種で生産の低下が見られた結果、前月比でマイナス3.7%と、想定を上回る生産低下となった。
 生産指数の後方3か月移動平均値を見ると、103.4となり、第4四半期の105.1から低下し、自然災害の影響のあった昨年第3四半期の103.1に近い水準まで低下している。

12月までは鉱工業生産の基調判断については、「生産は緩やかな持ち直し」としてきたが、1月はこれらの結果を踏まえ、「生産は足踏みをしている」に下方修正した。

【関連情報】

本年1月の鉱工業生産は、前月比マイナス3.7%の低下となり、3カ月連続の前月比低下。基調判断は、「生産は足踏みをしている」に下方修正。

参考図表集

マンガ「ビジネス環境分析にも使える!鉱工業生産指数(IIP)