統計は語る

3カ月ぶりに上昇も、いまだ低空飛行の建設業活動

 
 2018年11月の建設業活動は、前月比1.9%と3か月ぶりの上昇、指数値は112.6となった。前月比上昇幅としては大きめで、10月に約2年前の水準に戻ってしまっていた指数値は、112台半ばまで一気に回復はしたものの、低調だった2018年第3四半期値とほぼ同等の水準域に戻ったにすぎない。
 建設業活動指数は、2017年春を活動のピークに低落傾向にあり、この11月に至っても相対的にみて低空飛行が続いている、といえる。

 後方3か月移動平均値でトレンドをみると、10月までの下降ペースよりは緩やかになったものの、弱含み傾向が続いていることが確認できる。

公共工事が活発化するも

 11月の建設業活動は、民間発注工事が前月比0.4%と3か月ぶりの上昇、公共工事が前月比4.5%で4か月ぶりの上昇と、ともに前月比連続低下には歯止めがかかった。11月の建設業活動全体の上昇の動きには、公共工事の活発化が強く影響している。

 民間発注工事では、住宅建築は前月比0.4%と2か月連続の上昇だった。ならしてみた動きからは、2017年後半から続く弱含み傾向が終結したとまでいえる様相ではないが、わずかではあるが下げ止まりの兆候もみえてきた。
 非住宅(工場や倉庫など)建築は前月比マイナス1.5%と大きく低下、今基準内最高値を記録した2018年7月以降は、4か月連続の低下となっている。しかも、連続低下した4か月間で、指数値は7ポイント以上下降と、活動水準は高いながらも低下スピードは速く、頭打ちの様相が明確になってきた。
 民間・土木は前月比2.9%と3か月ぶりの上昇となった。毎月々の変動は大きいが、指数値は110台の水準に復帰するなど、相対的に高い活動水準を維持しており順調な動きをみせている。
 企業の設備投資関連工事といえる民間発注の非住宅建築と土木工事とでは、このところの基調には大きな差異がみられる。
 公共工事では、公共・建築(庁舎、学校、病院など)は前月比4.0%の上昇、公共・土木は前月比4.2%の上昇と、ともに3か月ぶりの上昇で、上昇幅も大きなものだった。ただ、建築と土木とも、昨年度末にあたる2018年第1四半期からは活動水準が大きく下降している。月単位の動きには不安定さがあり、ならしてみれば、土木工事には下げ止まりの兆しもみられるが、建築工事は依然として弱含みの動きが続いている。

2018年1月から11月までの各事業の動きは

 以下のグラフは、建設業活動指数の内訳5事業に関して、2018年1月から11月までの指数値の動きを、年内最高値と最低値、年初1月値と当月11月値との関係で示したものである。
 これをみると、民間発注の土木工事を除いた4事業は、11月の水準が年初1月の水準を下回っており、尻すぼみな動きとなっていることがみてとれる。

 民間発注工事では、①住宅建築は、活動水準自体は大きな崩れはないものの、他と比べ指数水準は低く動きも弱含みにあること、②非住宅建築は、他と比べ高い活動水準域で推移しているものの下降傾向気味にあること、③土木建築は、年を通じて上下動はあるが、年初の水準をキープしていること、などがみてとれる。
 公共工事の2活動は、年を通じて上下変動が大きく、11月の活動水準も年初に比べ落ち込んでいることがわかる。
 やはり、これら内訳事業のここ11か月間の状況を通じてみても、建設業活動全体が2017年春にピークアウトして以降は弱含みの動きにあり、11月時点でその基調に変化がみられないこともうなずける。

依然として「弱含み」

 2018年11月の建設業活動は、単月としては前月比大幅上昇でしたが、指数値は不調だった第3四半期と同等の水準域にとどまっている。
 内訳事業でも、民間住宅建築の動きには僅かながらも下げ止まりの兆しがあるが、公共工事には依然不安定さがあり、また、これまで他の事業の弱さをカバーしてきた民間投資関連工事のうち、民間非住宅建築活動のここ4か月の動きは不調で、今後の動きも不透明なものとなってきた。
 総じてみれば、11月も内訳の各事業の傾向には大きな変化はみられず、建設業活動全体を復調に導くような動きには至っていない。よって、11月時点の建設業活動全体の基調は、弱含み傾向が続いている、としている。

【関連情報】
2018年11月の建設業活動指数は3カ月ぶりとなる大きめの上昇、公共工事が全体をけん引も、建設業全体の指数水準は低位にある。建設業活動は弱含み傾向が続く。

全産業活動指数 結果概要