統計は語る

活況呈する国内ゲーム業界

「復活」の主役はソフトウエアの国内開発だった


2017年3月(第1四半期)には、据置型と携帯型の中間に位置づけられる新型のゲーム専用機(以下、ハードウェア)、「Nintendo Switch(ニンテンドースイッチ)」が発売された。同年7月(第3四半期)には、人気ソフトウェアの新作「ドラゴンクエスト11」や「スプラトゥーン2」等が発売されるなど、ゲーム・ビジネスの盛り上がりがうかがえる。
そこで、ゲームに関連するハード、ソフトの制作、流通に関連するビジネスの動きを統合した「ゲーム・ビジネス・インデックス(GBI)」で、2017年のゲーム産業の動きを見てみよう。

ゲーム・ビジネス・インデックス急上昇

2017年度中のGBIは、急上昇している。
前年の2016年第4四半期に、人気ゲームソフトの発売によって指数が上昇し、2017年に入ってからも、冒頭で述べたようなハードウェア、ソフトウェアの発売が続いて人気を呼び、上昇の勢いが続いている。なお、2017年第4四半期にいったん減速したが、2018年第1四半期には再び勢いを取り戻しているように見える。
さらに、2017年の期間中、おおむね130台(2010年=100)を超える水準での推移となっている。これは、2009年以来のことで、8年ぶりの高水準となった。

上昇寄与が大きいのは

GBIを構成する3指数(流通・小売インデックス、ハードウェアメーカーインデックス、デベロッパー&パブリッシャーインデックス)の、GBI全体の前期比変動寄与を示すグラフを見てみよう。
2017年の勢い、水準の上昇への寄与が最も大きいのは、デベロッパー&パブリッシャーインデックス、次が流通・小売インデックスだ。(注)。
デベロッパー&パブリッシャー指数は、ソフトウェア開発からパッケージの製造、販売、配信までを含む指数。2017年のGBIの8年ぶりの高水準を生み出したのは、ソフトウェアの国内開発の盛り上がりということになる。
他方、「Nintendo Switch(ニンテンドースイッチ)」が人気を博しているのに、ハードウェア指数の存在感は依然としてあまり目立たない。2008年から09年のグラフをみるとハードの変動寄与も大きかったが、昨今、これが小さくなっているのは、なぜだろうか。

ハードウェアは中国からの輸入が中心

上のグラフは、貿易統計(財務省)による、ゲーム機の輸入額。2017年の輸入額は約2千億円だった。これに対して、業界統計によると、3大メーカー(任天堂、ソニー・インタラクティブエンタテインメント、日本マイクロソフト)の国内出荷額も約2千億円(2018CESAゲーム白書)、すなわち、国内出荷額のほとんどを、海外からの輸入が占めていることになる。なお、輸入元(原産国)は、9割以上が中国だ。この傾向は、少なくとも過去5年間変わっていない。
輸入額の推移を見ると、そのピークはまさに年末商戦真っ盛りの2017年第4四半期だった。国内の産業活動を把握するGBIのハードウェアメーカー指数の影響度合いは小さくなっているが、8年ぶりの活況を見せた国内ゲーム業界の動きと同様に、ゲーム機の輸入も盛り上がっていたことが分かる。

(注)流通・小売・インデックスは家計消費の動向から推計しているため、本来見るべき小売業・卸売業の動向より遅効している可能性がある。

関連情報

2017年のゲーム・ビジネス・インデックス(GBI)は、8年ぶりの高水準。「復活」の主役は、ハードウェア製造というよりも、ソフトウェアの国内開発